1626 PP Stereo Amplifier
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以前から作ってみたいと思っているアンプがある。それはぺるけ氏のサイトで紹介されている「全段差動プッシュプル・アンプ」である。
球はAmprexのEL34やTungsolの6SL7を持っているので、その気になればすぐに取りかかれるが、EL34を4本も並べるとヒーターだけでも40W近く、プレート入力も含めると百数十Wにもなり、ちょっと二の足を踏んでしまう。
手持ちの真空管をチェックすると1626が4本出てきた。この球はプレート損失5Wの送信用3極管で、PPでも出力は2Wが良いところである。しかし、ヒーターは4本並べても12.6W、プレート入力も含めても35W程度なので、1626を使って差動PPを作ってみることにする。

ところで、1626は第二次大戦中の米軍航空機搭載無線機ARC5に使用されていたことをご存じだろうか。
ARC5の送信機1626(発振)-1625(増幅)の構成で、日本本土爆撃に飛来したB29爆撃機にも搭載されていた。
ちなみに1625はオーディオでも、よく使用される807の同等管である。

試験アンプ

1626を使うのは初めてなので、データを採るためにバラックのシングル・アンプを製作した。
ところで、PPアンプは30年以上も前にLUXのキットで作ったA2500が最初で最後である。このアンプは譲ってしまったので、PP用の出力トランスの手持ちがないので、とりあえずシングルとなった次第である。
1626を12AT7のSRPPでドライブしているが、出力トランスはタンゴのU-808、電源トランスもタンゴのST-130とかなりの年代物である。

クリッピング・ポイントは0.7Wである。この結果からだとPPにしても出力は1W台であろう。
周波数特性は0.2W時の特性であるが、あばれもなくきれいである。
歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータであるが、SGはWaveGeneではなく年代物のTRIO AG-202Aを使用した。

シャーシー

出力トランスはいろいろと考えた末に東栄変成器OPT-10P(8kΩ)とした。ドライバー管は手持ちのある12AX712AT7にする。
電源トランスは試験アンプで使用したタンゴのST-130である。 使用する球とトランスが決まればシャーシーの加工ができる。
シャーシーはW300mm*D200mm*t2mmの裁断済みのアルミ・パネルと木製サイド・パネルを15mm*15mm*t2mmのL型アングルで接合してある。
真空管取り付け穴は手動シャーシー・パンチで開けたが、2mm厚のアルミ・パネルが相手では、かなりの力仕事になる。

差動PP

ドライバー管は12AX7とした。
B電源はタンゴST-130の7.5V-100V間を倍電圧整流し、ヒーターは6.3Vの巻線2組をシリーズ接続して12.6Vを得ている。そのため、12AX7も12.6Vで点灯している。
出力段の定電流回路にはLM317Tを使用し、制限抵抗は51オームをパラにした。初段12AX7の定電流回路用CRDは1mAである。CRDは4本、購入して事前にチェックしたが、バラツキはほとんどなかった。
抵抗やコンデンサーはごく普通ののものであるが、NFB回路の抵抗だけは手持ちのソリッド・タイプを使用した。
12AX7のソケットはシールド・ケース付きを使用したが、単に手持ちのジャンクがあったためである。

調整は出力段のバランスを取っただけである。手持ちの4本の1626は試験アンプでテストした際、差し替えてカソード電圧を測定しておいたので、電圧値の近い2本でグループ分けをしておいた。
バランスが取りきれない場合はPPを構成する2本の球を入れ替えて再調整する。

特性・試聴

ノン・クリップ出力は1.1W程度となった。
DF=2.5である。
残留ノイズは0.2mVで、今まで作ったアンプののなかでも飛び抜けて優秀である。

低域はNFBのあるなしで変わりがないが、高域はほんの2.3dBしかかけていないが、改善されている。
50kHz、70kHzにアバレがある。

歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータであるが、SGはWaveGeneではなく年代物のTRIO AG-202Aを使用した。
歪率はシングルに比べると格段に良くなっているが、傾向的には同様なカーブである。

試聴であるが、FOSTEX12cmを位相反転箱にいれたスピーカーで行った。普段、このスピーカーは45 Single Stereo Amplifierを接続してあるが、最初に感じたのは低域が豊かになったということである。12cmなので元々、低域再生は期待していないが、同じスピーカーとは思えない感じがした。
全体的なバランスも良く、一皮むけたような感じでグレードが上がったように思われる。

12A6

12A6という小型ビーム管がある。この球は前述した第二次大戦中の米軍航空機搭載無線機ARC5にも使用されている。
1626は送信機の発振段に使用されたが、12A6ARC5受信機の低周波出力段である。
ヒーターは12.6V0.15Aで、マニュアルには3極管接続の特性カーブが記載されているが、なかなかきれいな特性である。

プレート電圧250V、プレート電流30mAを動作点としたので、LM317Tの制限抵抗にパラに100オームを追加し、定電流を60mAとした。
ピン接続も4番ピンがSGとなっている以外、1626と同じである。12A6の3番ピンと4番ピンを針金でしばってソケットに挿した。
負荷を軽くするため、片CHの1626を外し、電源トランスのタップを7.5V-110Vに切り替えた。 電源を入れるとプレート電圧260V、カソード電圧は13Vとなり、特性カーブと一致した。
入出力特性を測定したところ、ノン・クリップは1.6W程度となった。
モノラルではあるが音出ししてみたが、問題はなかった。

残念ながら12A6は2本しか持っていないので、これでおしまいである。
何故、12A6なのかというとARC5つながりということと、この球は人気がないようで、まだまだリーズナブルな値段で入手できるということである。
前段を6SC7とすれば、オール・メタル管のアンプとなる。
メタル管を使用する場合、No1ピンは必ず、アースに落とすことが肝要である。No1ピンはシェルに接続されているので、これを忘れるとシールド効果がなくなるのと、場合によっては電撃を食らうおそれがある。

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Last Update 18/Jun/2010 by mac