45 シングル直結アンプその2
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プロローグ

友人から貰ったタンゴの古の出力トランス H-5Sを使い45/VT-52 シングル直結アンプを製作した。
電源トランスに2.5V巻線がないので、6.3V巻線の0V-CTや0-5V巻線を整流し、抵抗で電圧を降下させて使用している。
その降下用抵抗の損失であるが、0V-CTでは0.7Wで済むが、0-5V巻線では4.5Wにも上るのが難点である。
要はAC点火であれば2.5V巻線があればOKであり、DC点火の場合は3V程度の巻線があれば余計な損失が少なくて済む。
結局、このアンプはシャーシー内の発熱を抑えるために、降下用抵抗の損失が少なくて済むVT-52に挿し替えることにしてしまった。

手持ちのトランスをチェックしていていたら、0-8V3Aのトランスが目に付いた。
このトランスの2次側には2V、4V、6Vのタップがあり、1次側には90V、100V、110Vのタップがある。
4Vタップを詳細に見ると2本の線を端子に巻き付けて半田付けしてあるので、これを外せば、0V-4Vと4V-8V(0V-4V)の2組の巻線に分割できる。
さらに1次側を110Vタップとすれば、4Vではなく2組の3.6Vが得られるので、45シングルのステレオアンプに使用できそうである。
このトランスを使い、実際に45シングル・アンプを製作してみるが、今回も既存の8B8シングル直結アンプを改造することにした。

回路

回路は基本的には45/VT-52 シングル直結アンプと同じであるが、電源トランスがタンゴのST-130、フィラメント用が上記の改造トランス、出力トランスが春日のKA-5730に変わっている。

構成

8B8シングル直結アンプを改造するわけであるが、タンゴの電源トランスST-130とUXソケットの穴を新たに開ける必要がある。
トランスの穴はドリルでガイド穴を開け、それからジグソーでカットした。
UXソケットはシャーシー・パンチで開けたが、2mm厚のアルミ・パネルが相手ではかなりの力業となる。

特性(5kオーム)

出力トランスKA-5730の1次側には5kオームと7kオームのリード線が出ているので、最初は5kオームを接続して特性を計測してみる。



NFBはDF改善を目的に2.5dB掛けてある。
ダンピング・ファクターはDF=1.6である。

各出力における-3dBの範囲は
0.125W:18Hz-60kHz
0.5W:22Hz-60kHz
1W:30Hz-55kHz
である。

200kHzにアバレがある。

典型的なシングルアンプの歪率特性である。
1kHz5%時の出力は1.2Wとなった。

特性(7kオーム)

次は7kオームのリード線を接続して計測してみる。



青線は5kオームの特性であるが、最大出力は5kオームの方が若干、大きい。
ダンピング・ファクターは5kオームのDF=1.6に対してDF=3.2と2倍となっている。

各出力における-3dBの範囲は
0.125W:15Hz-60kHz
0.5W:18Hz-60kHz
1W:25Hz-60kHz
であり、7kオームの方が低域が伸びている。

5kオームの1kHzの特性を青線で併記してあるが、5kオームの方が全体的に低歪みである。
1kHz5%時の出力は0.9Wとなった。

エピローグ

出力トランスのインピーダンスであるが、最大出力、歪率は5kオーム負荷の方がよく、ダンピング・ファクター、周波数特性は7kオーム負荷の方が良くなっている。
試聴してみたが、筆者の駄耳ではインピターンスの違いを判別することは出来なかった。
低域特性とダンピング・ファクターは7kオームの方が良かったので、出力トランスのインピーダンスは7kオームとした。
出力トランスの違いが音にも出ているようで、45/VT-52 シングル直結アンプに45を挿した音の方がレベルが高いと思われるが、このアンプでも直熱3極管の良さが十分発揮されている。

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Last Update 31/Oct/2011 by mac