45/2A3 Single Stereo Amplifier
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元は300Bシングル・アンプ

20年近く前に作った300Bシングル・アンプがある。このアンプ、300Bが交流点火だったため、ハムが取り切れず、あまり使わなかった。直流点火にするための整流器やコンデンサーの設置スペースもないので、いずれ作り直すつもりでいた。
最近、PCに格納したCD音源をUSB-DAC経由で聴くようになり、別のアンプが必要となったので、引っ張り出してみたが、そのままではハムの問題が残る。
300Bのフィラメントは5Vであるが、2.5Vの45では交流点火でもあまりハムが気にならないとのことなので、45のアンプに組み替えてみることにした。
組み替えに便利なように合板のきれはしで作業用の置き台も作ってみた。

45シングル 6SJ7ドライブ編

元は6SJ7-300Bの2段構成のシンプルなアンプなので、出力段のカソード抵抗を1kオームから1.5kオームに変更するだけで45にも使える。
PCM170の高圧巻き線は最低が300Vであるが、やはりこのままではプレート電圧が高すぎて45のプレート損失を若干ではあるがオーバーしてしまう。
データを採ってみたが出力トランスのコア・ボリウムの差なのか常用しているVT25アンプに比べると特に低域が伸びている。
古い録音のJAZZボーカルを聴くと筆者の好みの音で鳴ってくれた。

45シングル SRPP直結編

前々から、ロフチン・ホワイト回路を試してみたいと思っていた。しかし、オリジナル回路はアンプ各部分の電圧調整を抵抗の値を変えて行うが、これが結構、面倒そうである。
もう少し、簡便な方法があるのではと考えたのが、SRPPでドライブする方法である。シミュレーターで検討すると特に問題なさそうである。

45のフィラメントに挿入する抵抗をキリの良い値、例えば4kオームに決め、それを元に動作諸元を決めていく。45の動作をプレート電圧275V、プレート電流36.5mA、バイアス電圧56Vとすると4kオームの両端には146Vが発生する。グリッドには146-56=90Vをかければ良いことになる。SRPP段の出力取り出し点(上段ユニットのカソード)の電圧は上段プレートの電圧の約半分となるので、必要とするB電源電圧は90*2=180Vとなる。
この180Vを抵抗で調整するのではなくてツェナー・ダイオードで規制してしまうというわけである。ツェナー・ダイオードは12Vのものを十数個、直列にし、微調整は4Vのツェナーの増減で行う。
45のプレート電圧は146+275=421Vとなるので、トランス巻き線のタップで調整し、高い場合は抵抗でドロップさせる。この方式では調整箇所がこの抵抗だけとなる。

6SL7のB電源電圧が180Vでは、45をフル・ドライブするには心許ない。しかし、6SL7のB電源電圧を高くすると結果的に45のフィラメントに挿入する抵抗での損失が増えてしまう。また、6SL7のH-K耐圧±100Vをオーバーしてしまうので、ドライブ不足を承知で180Vとした。

ということで、本当に動作するか試してみた。フィラメントに挿入する抵抗の消費電力は5.25Wもあるので、20Wクラスの抵抗が必要となる。20Wクラスで4kオームの抵抗は手持ちがなかったので、1.5kを2個、1kを1個をシリーズ接続し、フィラメント抵抗とした。 今回は試作なので、片チャンネルだけである。整流菅には傍熱菅の5V4Gを使用し、6SL7にはツェナー・ダイオードで規制した180Vを供給した。

入出力特性であるが、6SJ7-45のコンデンサー・カップリングよりもゲインが低くなっているが、周波数特性は低域、高域側ともに落ち込みが少なくなっている。
片チャンネルのモノラルではあるが、試聴した感じでは、6SJ7-45よりも繊細な音がするようである。

45シングル SRPP CC編

上述した直結回路ではフィラメント用として4kオーム20W程度の抵抗が2本、必要であるが、それが入手出来るまでの間、コンデンサー・カップリングのステレオ・アンプとして使うことにした。
整流菅は5V4Gではプレート電圧が高くなるので、5Y3に戻したが、それでも若干、高めである。
下図で直結は45_DC、コンデンサー・カップリングは45_CC_SRPPとしているが、特性は測定誤差を考慮すると全く同じである。

SRPP直結 ステレオ・アンプ

SRPP直結の45シングル・ステレオ・アンプにまとめてみる。
フィラメント用の抵抗であるが、ホーロー抵抗は1k、2k、3k、5kのラインナップのため、4kオームにするためには2k10Wを2個シリーズすることになる。これらを買い求め、ついでに何種類かのセメント抵抗も購入して帰宅した。
ところが、ホーロー抵抗を取り付ける金具は手持ちを使う予定であったが、ビスの長さが不足していた。仕方ないので、2k10Wのセメント抵抗2個をラグ板を使って装着した。
電源トランスのタップを350Vに換え、カップリング・コンデンサーを電線でショートし、グリッド・リーク抵抗もカットした。 電源を投入して各部の電圧を計測すると正常である。

そうなると音出しをしたくなる。目の前のベールが取れたくっきりした音というのが第一印象であった。

こうなると欲が出て、前段の6SL7回りの電源を強化してみた。FETリップル・フィルター兼簡易型安定化電源を通し、2.2kオームの抵抗で左右のチャンネルを振り分け、6SL7の上段プレートには47uF250Vを挿入した。 カップリング・コンデンサー、グリッド・リーク抵抗を除去し、6SL7と45を直結にした。
ついでに整流菅出口に50オームの抵抗を挿入してプレート電圧を下げたので、動作がプレート損失10Wに収まるようになった。

歪率特性

WG、WSによる歪率の測定で本機の歪率を計測した。
典型的な無帰還シングル・アンプの傾向を示しており、ダンピング・ファクター(DF)は3.5である。

45の代わりに2A3を挿してみると・・・

次は2A3のアンプを作ろうかななと思いながら、2A3の特性図を眺めていたらバイアス電圧-50Vとプレート電圧250Vの交点が30mA程度となることに気がついた。
これって、45の動作例であるプレート電圧275V、プレート電流36.5mA、バイアス電圧-56Vと近似している。

もしかすると45の代わりに2A3を挿しても動作するのではないかと思ったので、早速、試してみた。
手持ちの2A3はRCA製が2本、SYLVANIA製が1本、中国製が1本である。とりあえず45の代わりに中国製を挿してカソード電圧を測定すると145Vとなった。
もう1本の45の代わりにSYLVANIA製を挿すとこちらのカソード電圧は146Vとなったので音出ししてみた。
ちょっと聴いただけであるが、音色は45と似通っている。
入出力特性と周波数特性を計測してみると45よりも若干、ゲインが高く、高域の落ち込みが早いのが判った。
1kHzの歪率特性を45と比較してみたが、ほとんど同じあった。

45の代わりに2A3をそのまま挿しても問題なく動作する。
オシロで観測するとクリッピング・ポイントは45の場合と同じで1W強というところで、2A3だからといって余計にパワーが出るわけでもない。
5kオームのロード・ラインを引くとかなり良い感じなので、出力トランスもそのままでOKである。このロード・ラインでは本来の半分以下の出力しか得られないが、それなりのメリットがある。2A3をロフチン・ホワイト回路で使うとするとカソード抵抗の損失が10W近くにもなる。しかし、このロード・ラインではその半分程度で済むことになる。

期せずして回路の変更なしで2A3の音を聴くことができたが、これが2A3本来の音なのかは不明である。
その後、知人宅のALTEC A7に本機を接続して45と2A3を聞き比べる機会があった。やはり2A3にすると評判どおりの中域が充実した音となった。

電源の強化

1626差動PP直結アンプの製作過程で電源部の重要性を再確認したので、本機の電源部を強化してみた。
シングル・アンプでは音声信号は電源部のコンデンサーを必ず通るが、現状では47uFしかないので、これでは容量不足であろう。
また、このコンデンサーには音響用の電解コンデンサーやMPコンを使うのが通例のようである。
しかし、これらは高価なので、FETフィルターでどの程度、通用するか試してみることにした。FETフィルターの出力インピーダンスは数オーム以下になるので、音声信号はこれによりバイパスされることになる。
さらに出力段のB電源は左右共通であったので、左右別々のFETフィルターで分離してみた。

念のため、入出力特性と周波数特性を計測してみたが、FETフィルター挿入前と後では全く変化がなかった。
ただし、クロストーク特性は低域が大幅に改善され、残留雑音も4mVから1mVへ減った。
試聴した感じでも音の抜けが良くなり、低域が豊かになったのがよく判った。

赤線が電源強化前のRCHに入力してLCHの漏れを計測したデータである。数百Hz以下の悪化が目立つ。
黒線はFETフィルターを挿入して左右分離したデータである。低域が大幅に改善されている。

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Last Update 29/Dec/2010 by mac