6BM8超3結アンプの実験
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はじめに

超3結アンプは アンプ試作用シャーシーを使い、 12BH7Aシングル直結アンプを改造してデータを採ってみた。
ただし、球は双3極管の12BH7Aなので超3極管接続というわけではないので、よく作例に登場する6BM8を使い実験してみた。
実験なので、今回はモノラルである。

回路

先ず、6BM8の動作を決定する。
データシートからEpk=200Vとするとカソード電流30mA、バイアス電圧-20Vが得られる。

バイアス電圧が-20Vとなるので、それを2SK30Aでドライブするためにはドレイン電圧は20V程度が必要となる。

2SK30AはIDSSが2mAのものを使用したので、ドレイン電流1mAで動作させる。
簡単な試験回路をつくり、ドレインに12Vをかけ、ソース抵抗を調整し、1mAが流れるようにすると600オームとなった。
2SK30Aでは、ドレイン電圧を変えても流れる電流は、ほぼ一定となる。
2SK30Aと出力段は直結となるので、出力段のグリッド電圧は20V程度となり、6BM8のバイアスが-20Vであるので、出力段のカソード電圧は40V程度、プレート電圧は240Vとなる。
そのため、PG帰還用の6BM8 3極管部のプレート-カソード間電圧は220V程度となる。

次にPG帰還用の6BM8 3極管部の動作であるが、FETのドレイン電流を1mAとすると 3極管部にも1mA流れることになるので、特性図から 1mA、220V時のバイアス-3Vを得た。
カソード抵抗は3V/1mA=3kオームとなるので、この抵抗で電圧配分を調整することにする。

出力段のカソードにはLM317Tを使用した定電流回路が挿入されている。
この定電流回路によりカソードに流れる電流は30mA一定となる。
LM317Tの入出力電圧は最大40Vであるので、500オームの抵抗を直列に挿入して25Vに抑えてある。
LM317Tの損失は750mWとなるので、シャーシーに密着させるか放熱板を設ける必要がある。
また、信号ループを最短にするため、カソード-B電源間に電解コンデンサーを挿入してある。

B電源にはFETを使用したリップル・フィルターを挿入してあり、ゲート電圧を決定する抵抗を可変することにより、出力電圧を調整することができる。
大幅に変更する場合は、トランスのタップをつなぎ替える。

調整は6BM8 3極管部のカソード抵抗を可変して、2SK30Aのドレイン電圧が20V程度になるようにする。
その時、6BM8プレート電圧が240V前後であることを確認する。
電圧が低い場合は電源部のリップル・フィルターのゲートに入っている抵抗1M+470kを増やし、電圧が高い場合はこの抵抗を減らし、240V前後に調整する。

特性

NFB=6.0dB、DF=9.0である。

-3dBの範囲は
0.125W : 10Hz-35kHz
0.5W : 20Hz-35kHz
1.0W : 35Hz-35kHz
でる。


歪率5%の出力は
1kHz:1.5W
10kHz:1.5W
100kHz:1.1W
である。

まとめ

特性上、特筆すべきはダンピング・ファクターがDF=9.0とかなり大きな値となっていることである。
5極管を普通に使うとこのような値にはならないが、超3結により内部インピーダンスがかなり低下した結果である。
それは試聴の結果にも表れており、ダンピングの効いた低域となっている。
周波数特性であるが低域はかなり伸びているが、高域はNFB=6dBにもかかわらず、すでに10kHzから低下が始まっている。
歪率はアンプ試作用シャーシーの12BH7A超3結アンプと比較すると高めである。
推測であるが、12BH7A超3結アンプでは初段の2SK30Aはドレイン電圧10Vであったが、本機では6BM8をドライブするために20Vまで高めている。
そのため、2SK30Aの動作に無理が生じたのかもしれない。
ただし、1kHzで 歪率5%の出力は1.5Wが得られているので、家庭で普通に使用する分には十分であろう。

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Last Update 29/Jan/2012 by mac