カソード帰還のいたずら
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カソード帰還

以前から試してみたかったカソード帰還である。
きっかけは中華DAC基板の出力が1kHz0dBFSで2.64Vもあり、これならば単段の真空管アンプをドライブできるのではないかと思ったことである。
ただし、単段となると負帰還の方法がPG帰還かカソード帰還となるが、PG帰還は単段ではないがいたずらしたことがあるので、今回はカソード帰還にトライしてみた次第である。

実験回路

球は6DJ8/E88CCを使用し、結果がよければ、単段単球の小出力アンプに仕上げたいと思っている。
6DJ8の動作点であるが、6DJ8はFETドライブ 6DJ8 シングル直結アンプがあるので、比較できるように135V10mAとした。
元となる回路は下記Fig-1Aで、これにカソード帰還を加えたのがFig-1Bである。
カソード帰還を掛けるため、出力トランス(東栄 T-1200)の2次側は8オーム側をアースとしてある。

周波数特性

通常、周波数特性計測では低周波発振器を用いるが、今回は発振器としてRaspberry Pi Zero W + pHAT DACを使用した。
その訳であるが、この実験の結果が良ければ、Raspberry Pi Zero W + pHAT DACとアンプを組み合わせてアンプ付きのミュージック・サーバーにしてみたいと思ったからである。
このpHAT DACにはTI PCM5102Aが使われており、192kHz24bitのWAVファイルを再生して計測した。
出力電圧は5Hz-20kHzまで2.1Vであり、それ以降はだらだらと下がるが70kHzでも1.7Vあるので傾向を見るのには問題ないと思われる。

上図が実験回路アンプの周波数特性である。
赤線で示したカソード帰還なしの場合、2.1V(1kHz0dBFS)の入力電圧に対して出力235mWとなった。
黒線で示したカソード帰還を掛けた場合の出力は85mWとなり、帰還量は4.4dBであることが判る。
たかが4.4dBの帰還量であるが、周波数特性では低域、高域とも伸びでいるが、特性的には広帯域とは言い難い。
DFはカソード帰還なしのDF=1.6に対してカソード帰還ありではDF=3.5となった。
周波数特性で-3dBの範囲は
カソード帰還なし 22Hz-22kHz
カソード帰還あり 15Hz-28kHz
である。

歪率特性

左図はカソード帰還なしの歪率特性である。

こちらはカソード帰還ありの歪率特性である。
帰還量は4.4dBであるが、0dBFSの歪率が低下しており、その効果はこのグラフからも確認できる。

入力トランス

カソード帰還を掛けた場合、入力2.1Vで出力は85mWしか得られないが、これでは少なすぎる。
ちなみに上述した1kHz0dBFSで2.64Vの中華DACでも、カソード帰還を掛けると出力はやっと125mWであり、せめて300mWは欲しいところである。
そのためにはドライブ電圧を増やす必要があるが、前段増幅器を配置するのでは普通のアンプになってしまうので、苦肉の策として入力トランスを挿入することにした。
使用したのは東栄の600:10kの入力トランス(600-10KZ)で、以前、秋月のUSB-DAC KITと組み合わせて使用したが、あまり良い特性ではなかった。
他に手持ちがないので、とりあえず、これで特性を計測してみた。

下図がpHAT DACと入力トランスを組み合わせた周波数特性である。
トランスの2次側負荷は10kオームと20kオームとして計測したが、20kオームでは高域に不自然な盛り上がりがある。
10kオームでも、DAC単体2.1Vに対して入力トランスを挿入すると倍の4Vが得られた。

左図がトランスの2次側負荷を20kオームとした歪率特性である。

こちらがトランスの2次側負荷を10kオームとした歪率特性である。
この特性もあまり良いモノではないが、上図の20kオームの歪率特性と比べると1kHz、10kHz、100Hzの特性が揃っている。

実験回路その2

左図Fig-2は入力トランスを配置した回路図であり、とりあえず、単段単球の小出力アンプとなっている。
入力トランスの負荷は10kオームとしたが、並列に100kオームのボリウムと6DJ8の入力インピーダンスが付加されているので調整が必要かもしれない。

下図が入力トランス付きカソード帰還アンプの周波数特性である。
赤線はpHAT DACから0dBFS(192kHz24bit)を入力した特性で、最大出力は328mWが得られた。
なお、DFはDF=3.5であった。
黒線は-10dBFS入力の特性で、こちらの方がわずかではあるが、高域、低域の落ち込みが少ない。
緑線は上掲した入力トランスなしの特性を比較のため記載したが、入力トランスによる周波数特性への影響がよく判る。

左図は入力トランス付きカソード帰還アンプの歪率特性である。
こちらも入力トランスによる影響があり、10kHz、100Hzの特性が良くない。
また、入力が0dBFSであるとアンプが飽和しているようで、実際に試聴する場合はボリウムを絞る必要がある。

試聴

バラックであるが、ステレオアンプとなっているので、試聴してみた。
もちろん、ソースはpHAT DACである。
特性的には、お粗末であるが、聴いてみるとそんなに悪い感じはしない。
筆者の駄耳ではあてにならないので、たまたま来宅した知人にも聴いてもらったが、同様の感想であった。
特性的にネックとなっているのは、入力トランスの部分だと思われるが、どうしたものだろうか。

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Last Update 23/May/2019 by mac