USB-DACはいろいろといじってきたが、チップは全てPCM-2704で性能は44.1kHz/48kHz16Bitである。
このチップを使用した自作DACはWindowsPCやLinuxのMPDサーバーに接続して再生システムを構成しているが、WindowsでもLinuxでも特別なドライバーが不要でUSBポートに挿入するだけで認識される。
知人から、彼が所有している96kHz24BitのDD+DACが筆者のMPDサーバーで動作するか確認して欲しいという依頼があった。
筆者のMPDサーバーは2種類で一つはALIX3D2+Voyage MPD、もう一つはRaspberry Pi+Raspbian“wheezy”である。
その結果であるが、ALIX3D2+Voyage MPDでは一部のエラーがありデバイスとしては完全に認識されず、当然、音も出なかった。
Raspberry Pi+Raspbian“wheezy”では、デバイスとして認識され、96kHz24Bitのサンプルwavファイルは再生できたが、残念ながらブチブチと音切れが発生してしまった。
ALIX3D2はAMD、Raspberry PiはARMで、Voyage MPDもwheezyもDebian系であるが、さすがに96kHz24Bitともなるとチップ、ボード、OSの相性があるものだと感心した次第である。
実は筆者もEDIROL UA-1EXという96kHz24Bitで再生可能なUSB-DACを所有しているが、96kHz24Bitの場合、Windowsでは専用ドライバーが必要であり、Linuxでは動作しないものと思っていた。
しかし、上述の実験からもしかすると特別なドライバーなしでもMPDサーバーで動作するのではと思い、試してみた。
その結果であるが、ALIX3D2+Voyage MPDでもRaspberry Pi+Raspbian“wheezy”でもデバイスとしては問題なく認識された。
ただし、ALIX3D2+Voyage MPDでは96kHz24Bitのサンプルwavファイルは完璧に再生できたが、Raspberry Pi+Raspbian“wheezy”では時々、ブツブツというノイズが発生してしまった。
wheezyで不要なソフトを停止してみたがダメであった。
ネット検索するとやはり、Raspberry Piのハイレゾ再生ではノイズが発生するようで、wheezyのUSB等のドライバーの問題ではないかとのことであり、wheezyの次期リリースでの改善に期待したいものである。
以下はVoyage MPDにおけるデバイスの状況である。
root@voyage:~#dmesg
7.225797] usb 2-1: new full-speed USB device number 2 using ohci_hcd
[ 7.367135] usb 2-1: New USB device found, idVendor=0582, idProduct=0096
[ 7.367211] usb 2-1: New USB device strings: Mfr=1, Product=2, SerialNumber=0
[ 7.367274] usb 2-1: Product: UA-1EX
[ 7.367319] usb 2-1: Manufacturer: EDIROL
[ 7.434051] usbcore: registered new interface driver snd-usb-audio
WGで96kHz24bit0dBFSのいろいろな周波数のwavファイルを作成し、それをALIX+VoyageMPD+UA-1EXで再生し周波数特性を計測した。
UA-1EX単体では1kHz0dBFSで0.69Vしかないので、秋月のUSB-DAC KIT + FET差動バッファ・アンプで使用したFET差動バッファ・アンプを仮接続して出力を2倍の1.4Vにアップし、特性を6.0dBのラインで示している。
また、差動アンプのNFB回路抵抗を調整して出力が1kHz0dBFSで1.82Vとなるようにした特性を8.4dBのラインで示している。
このアンプは予備用として製作したものであり、LPFが組み込まれているので、UA-1EX単体と比較すると高域側でレスポンスが低下している。
なお、単体でもアンプ付加でも終端抵抗は真空管パワー・アンプの接続を想定して47kオームとした。
MPDサーバーに接続したEDIROL UA-1EXが本当に96kHz24bitで再生してるかを以下のコマンドで確かめることができる。
root@voyage:~# cat /proc/asound/card0/pcm0p/sub0/hw_params
access: RW_INTERLEAVED
format: S24_3LE
subformat: STD
channels: 2
rate: 96000 (96000/1)
period_size: 12000
buffer_size: 48000
雑誌付録の96kHz24Bitサンプルwavファイルでは比較が出来ないので、
【e-onkyo music】から手持ちCDアルバムと同じマスターから起こされたと思われる楽曲の96kHz24bit版を購入(ダウンロード)して試聴してみた。
筆者の駄耳でもCDアルバムからリッピングした44.1kHz16Bit版との違いは認識できるが・・・。
CDアルバムからリッピングした44.1kHz16Bit版もかなりイケるのではないかと言うのが筆者の正直な感想である。