シングル直結アンプの実験
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プロローグ

差動PP直結アンプをリビングや寝室で使っているが、真空管のA級動作なので効率が良くないので、電力不足の時節柄いかがなものかと思われる。
真空管を使ったアンプというコンセプトは譲れないが、 差動プッシュプルではなくシングル・エンドにすれば使用電力は単純に言えば1/2となる。
シングル・エンドのアンプはすでに45/2A3 Single Stereo Amplifierを持っているが、もう少しコンパクトなものを作ってみることにする。

6BM8

最初は6BM8を試してみる。何故、6BM8かというと、これの結果がよければ、8B8差動PP直結アンプを作り替えてみようという魂胆があるからである。
8B8はヒーターが8.2Vである6BM8の同等管である。
回路は2段増幅の直結である。コンデンサー結合にすれば、簡単であるが、直結にこだわってみたい。
出力段のB電源-カソード間に電解コンデンサーを挿入し、 前段のプレート電源はツェナー・ダイオードで安定化してある。

クリッピング・ポイントは1Wである。NFBは9dB掛けてあり、周波数特性は低域から高域まで素直に延びている。また、DF=10となった。
歪率は1kHzに比べると100Hzと10kHzは若干、良くないが全体的には同じ傾向である。
別のアンプと組み合わせてステレオとして音出ししてみた。透明感のある中高域であるが、低域がかなり弱いと感じた。周波数特性的には問題ないが、何故か低域が出てこない。

6FM7

次は6FM7である。 6FM7はすでに6FM7差動PP直結アンプとして使っており、リビングの現用アンプである。
このアンプは筆者のお気に入りのアンプなので作り直すつもりはないが、6FM7シングル直結のデータを採ってみる。
回路は上述した8B8とほぼ同じあるが、出力トランスがタンゴのU-808から春日のKA-5730に代わり、前段のプレート抵抗を220kに換え、デカップリング回路も省いてある。
KA-5730は1次側7kオーム、2次側16オームで使用して見かけ上3.5kとした。

クリッピング・ポイントは1.2Wである。NFBは6dB掛けてあり、周波数特性は6BM8と比べると高域の落ち込みが早くなっている。DF=9となった。
歪率は1kHz、100Hz、10kHzがよく揃っている。
音出しの結果であるが、6BM8と同じ傾向で、透明感のある中高域ではあるが、低域がやはり弱い。

6DG6GT

次は6DG6GTである。この球はアメリカの真空管屋から通販で購入したが、特価セール中だったので、1本が3ドル以下だったと記憶している。
低電圧大電流のビーム管であるが、3結にした特性が6FM7と似ているので、6FM7の電力増幅ユニットの代わりにしてみた。
ただし、この球は8B8や6FM7のように複合管ではないため、電圧増幅用に別の球が必要となる。
またヒーターが6.3V1.2Aと大食いなので、この実験のコンセプトからすると そぐわない感じもあるが、こんな時でないと出番がないのも事実である。

回路は6FM7の出力段を3結(SGへは100オームを介して接続)にした6DG6GTに置き換え、電圧増幅は6FM7をそのまま使っている。
特性はクリッピング・ポイントだけを確認したが約1Wであった。
音出しの結果であるが、全体的には6BM8や6FM7と同じ傾向であった。

エピローグ

省電力でコンパクトなシングルエンドの球アンプということで始めた実験であるので、 各球の使用電力を計算してみる。
条件はステレオ・アンプにした場合のB電源入力とヒーター入力の合計である。実際には電源トランスやその他の損失がこれに加わることになる。
6DG6GTには電圧増幅管が必要なので、12AT7の使用を想定した。

6BM8(8B8) 31W
6FM7 41W
6DG6GT 45W

ノンクリップ出力はそれぞれ片CHあたり1W前後であるのもかかわらず、6FM7は6BM8(8B8)の32%増、6DG6GTにいたっては45%増の使用電力となる。
コンパクトさという点では、6BM8(8B8)、6FM7は複合管なのでステレオ・アンプにした場合、2本でOKだが、6DG6GTは電圧増幅に双3極管を使用したとしても最低でも3本構成となる。
消費電力からすると6BM8(8B8)であるが、6FM7であれば電圧配分が絶妙となり、前段のデカップリング回路が省略できるので、悩ましいところである。
また、不良在庫の処分ということであれば、6DG6GTも考えられるが・・・

1626(追補)

6BM8の実験結果が良かったので、8B8差動PP直結アンプを作り替えて8B8シングル直結アンプとなった。
このアンプはリビングの常用アンプに昇格したが、寝室は差動PPアンプのままなので、こちらも夏向きの省電力シングル・アンプを用意したいと思うようになった。
同じ8B8ではつまらないので、1626を使ってみることにした。前段は手持ちの球の中からある程度、電流が流せるということで6AQ8を採用した。
回路的には上述した6FM7と同じであるが、出力トランスが東栄のT1200に換わっている。

クリッピング・ポイントは0.5Wである。NFBは6dB掛けてあり、周波数特性は6FM7と比べると低域、高域とも、落ち込みが早くなっている。DF=4となった。
歪率は6FM7と比べると1kHz、100Hz、10kHzが揃ってはおらず、歪率特性からもクリッピング・ポイントが0.5Wであることが判る。
今回の実験では3種類のトランスを使ったが、6FM7で使った春日のKA-5730のコストパフォーマンスが良いようである。
しかし、東栄のT1200の値段は春日のKA-5730の1/2以下なので、それからすると良く健闘していると思われる。
音出しの結果であるが、寝室でBGMとして使うのには十分なクオリティーがあると思われる。
使用電力は30Wを切っているので、その点も評価できる。

6GA4(番外編)

1626を使い、寝室用アンプを作ろうと思ったが、その前に仮アンプでステレオにしてみた。
実験用シャーシーには十分な余裕があるので、もう1個の東栄T1200を仮止めし、整流管用USソケットを出力段に転用した。
この状態で8B8シングル直結アンプと聞き比べてみた。
やはり、低域が今一歩なのと何となくパワー感がない。出力トランスの性格が出てくる音にも反映されているようである。

ところで、1626のピン・アサインは多くのGT出力管とコンパチブルなので、ヒーターだけを6.3Vにすれば、そのままで別の球と挿し替えが可能である。
1番手は国産3極管の6GA4である。この球は40年以上も前にステレオ・アンプを組み立てた際に購入したものである。
これが大当たりである。カソード定電流回路は1626と同じ25mAのままであるが、クリッピング・ポイントは1.6Wまで上昇した。
カソードに定電流回路が入っていると、カソード電圧は球の特性によりある程度、自動調整されるので便利である。
回路は1626と同じで、ヒーターだけを6.3Vにしただけであるが、ちょうど良い動作点になったようである。

さすがに6GA4の方が余裕があり、クリッピング・ポイントは1.6Wである。周波数特性は1626と比べると低域、高域とも、落ち込みが改善されている。DF=5となった。
歪率は1626と比べると全体的に低下している。
実際に音出ししたが、低域がイマイチなのは解消されていない。球の性格と言うよりもやはり出力トランスの性格が支配的なのかもしれない。
ヒーター電圧の切り替え回路を設ければ、コンパチブル・アンプになりそうである。

手持ちの球を挿し替えてデータを採ってみた。カソード回路の定電流は25mAのままである。
5極管やビーム管を使うためにプレート(3番ピン)とSG(4番ピン)を100オームの抵抗で接続しておく。
使用した球は6V66F66L6である。クリッピング・ポイントはそれぞれ0.47W、0.32W、0.69Wとなった。

省電力アンプというコンセプトから開始した実験であるが、6GA4のヒーター電流は6.3V0.75A(4.275W)、6L6に至っては6.3V0.9A(5.67W)もある。
その点、1626は12.6V0.25A(3.15W)、6V6は6.3V0.45A(2.835W)であるので、この辺りが妥協点かもしれない。
でも、試聴した結果ではヒーター電力の大きい球の方が好ましい感じがする。困ったものである。

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Last Update 25/May/2011 by mac