SRPP回路の実験
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SRPP回路は30年以上も前から使用しているが、まともに特性を計測したことはなかった。
今回は、300Bのようなバイアスの深い直熱3極管を直結でドライブすることを想定してデータを採ってみることにした。
直結ドライブでは、出力段のグリッドに印加する電圧を高くすると、回路全体の電源電圧もそれにつれて高くなってしまう。 また、電圧が低いとバイアスの深い球はドライブしきれなくなる。
SRPP回路ではB電源が200Vの場合、出力を取り出す上側真空管のカソード電圧は約半分の100V程度となる。
とりあえず、100Vあれば数十Vの出力電圧が期待できるので、これで実験してみる。

普通のSRPP回路

手持ちの双3極管の中から、プレート電圧100Vの時、なるべく深いバイアスで多くの電流が流れるという条件で12BH7Aをピックアップした。

調整を容易にするため、下側真空管のカソードには定電流ダイオードを挿入して常にプレート電流3.5mAとなるようにする。
上側真空管にカソードに挿入してある2kオームの可変抵抗を調整して、上下の真空管のP-K間電圧が揃うようにすればOKである。

下記は負荷50kオームにおける出力電圧-歪率特性である。
歪率10%における出力は1kHz:40V、10kHz:35V、100Hz:35Vとなり、ゲインは13倍である。

FET+SRPP回路

普通のSRPP回路におけるゲインは13倍しかないので、前置アンプを配置してみる。
前置アンプも直結にしたいが、真空管にこだわると回路全体の電源電圧が高くなってしまうのでFETとした。
FETは2SK30で電源電圧25V、ドレイン電流1mA、ドレイン電圧8.7Vとなった。

下記は負荷50kオームにおける出力電圧-歪率特性である。
歪率10%における出力は1kHz:45V、10kHz:45V、100Hz:45Vとなり、ゲインは300倍である。

FET+SRPP+Cascode回路

FET前置アンプを追加したが、もう一ひねりして下側の12BH7Aをカスコードに配置してみる。
カスコードにすると下側12BH7Aのカソード電圧がFETのドレイン電圧となるため、この電圧を確保する必要がある。
通常は、 下側12BH7Aのグリッドにプラスのバイアスを与えてカソード電圧を引き上げるが、回路が複雑となるので、グリッドを接地(0V)できないか検討してみる。
グリッドを接地(0V)すると動作点のバイアス電圧が反転してカソード電圧となるので、プレート電圧100Vにおいて、ある程度プレート電流が流れて、なるべく深いバイアスが得られるポイントということで、バイアスを-5Vとした。
バイアスを-5Vとすると、プレート電流は2-3mA程度となり、これがFETにも流れることになるので、手持ちFETからIDSSが7mAの2SK68Aを採用した。
下側12BH7Aのカソード電圧が2SK68Aのドレイン電圧となるので、この電圧が5Vとなるように2SK68Aのソースに挿入した可変抵抗を調整する。

下記は負荷50kオームにおける出力電圧-歪率特性である。
歪率10%における出力は1kHz:50V、10kHz:50V、100Hz:50Vとなり、ゲインは330倍である。
カスコードに配置した方がFET+SRPP回路よりも出力電圧が上昇し、さらに低歪みとなった。

まとめ

出力信号取り出し部分である上側12BH7Aのカソード電圧が110V-122Vと開きがあるので、厳密な比較とはならないが、普通のSRPP回路よりもFETの前置アンプを挿入したSRPP回路の方が、全体に低歪であり、出力電圧も高くなった。
さらにカスコードにすることにより、性能アップを図ることができた。
実際のアンプに組み込む場合、FET付きは十分なNFBをかける余裕がある。
出力電圧が50Vあれば、何とか300Bをドライブすることができると思われる。

「この回路を実際のアンプに組み込んでみました。」

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Last Update 1/Apr/2012 by mac