MPD on LIVA (B3 2G 32G)
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LIVA (B3 2G 32G)

Intel NUC(DN2820FYKH)で構成したMusic Serverが気に入ったので、もう1台、導入しようと思っていた矢先、ECSから同様のコンセプトのLIVAというMINI PC KITが発売された。
LIVAの方は2GBのメモリーと32GBのストレージがオンボードで装着され、値段も18,000円程度とDN2820FYKHよも割安感があったのでMusic Serverにするつもりで購入した。
サイズは118mm(L)*70mm(D)*56mm(H)とかなりコンパクトである。

OSのインストール

LIVAのサイトによるとサポートされているOSは
OS Support Windows 8.1
        Windows 7 / Ubuntu (Coming Soon)
となっているが、ネット検索するとUbuntuのインストール例「ECSのLIVA-B3-2G-32Gを買ってubuntu14.04をインストールしてみた」 もあったので、Ubuntuでトライしてみる。
LIVAではBIOSに代わるファームウェアであるUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)を採用しているため、これに対応したOSしかインストールできないようである。
Ubuntuの最新リリースのUbuntu14.04LTSはUEFIに対応しているが、 Intel NUC(DN2820FYKH)にインストールしたVoyage MPDは、残念ながら未対応である。

Ubuntu14.04LTSの種類も多々あるが、最終的にはMPD(Music Player Daemon)をインストールしてMusic Serverにしたいので、デフォルトで低レイテンシーカーネルが入っている Ubuntu Studio 14.04 LTSをインストールしてみる。

上記サイトから 64-bit 14.04 ISO Imageであるubuntustudio-14.04-dvd-amd64.isoをダウンロードしてUSBメモリーに格納してブート・デバイスとする。
ISO ImageをUSBメモリーに格納するためには「ECSのLIVA-B3-2G-32Gを買ってubuntu14.04をインストールしてみた」 で紹介されていた Rufusを使用した。

RufusでUSBメモリーに格納するisoイメージを選択し、「パーティション構成とターゲットシステムの種類」を「MBR UEFIコンピューターのためにパーティション構成」にすると左図のような設定となるので、そのままスタート・タブを押すだけでOKである。
なお、4GBのUSBメモリーを使用した。

isoイメージを格納したUSBメモリーをLIVAのUSB3.0ポートに挿入し、UEFIのBootタブで Set Boot Priority Boot Option#1 を[USB flash]に設定してブートさせるとインストールが始まる。
途中でインストールするコンテンツ、Audio、Graphics、Video等を選択するが、今回はMPD Music Serverにしたいので、全てのチェックを外しコンテンツはインストールしなかった。

SSH-Server等の設定

LinuxをGUIで設定するのには慣れていないので、SSH-Serverを導入していつものWindows7PCからSSH-CliantのTera Termでコントロールできるようにする。

Ubuntu Studioのデスクトップ画面の下部にカーソルを移動させるとTerminal Emulatorが現れるのでクリックする。

次にコマンドラインから次のようにタイプしてSSH-Serverをインストールする。
$ sudo apt-get install openssh-server

DHCP環境下でUbuntu Studioを立ち上げると自動的にIPアドレスが割り振られるが、Music Serverにするためには固定IPアドレスとしたい。
デスクトップ画面右上部の→EditをクリックするとLANの設定画面が現れるので下図のように設定した。

MPDのインストール・設定

これ以降の設定はSSH-CliantのTera TermによりWin7PCから行ったが、もちろん、Ubuntu StudioのTerminal EmulatorでもOKである。
最初にmpdとmpcをインストールする。
なお、mpcはクライアント・ソフトである。
$sudo apt-get install mpd mpc

次に念のため、alsa-utilsをインストールするが、最新版がすでに入っていた。
$sudo apt-get install alsa-utils
alsa-utils is already the newest version.

今度はmpdの設定ファイルである /etc/mpd.conf を設定するが、その前にデバイスの状態も確認しておく。
筆者は自作USB-DACを接続してみた。
$cat /proc/asound/cards
0 [PCH ]: HDA-Intel - HDA Intel PCH
HDA Intel PCH at 0xd0714000 irq 106
1 [DAC ]: USB-Audio - USB Audio DAC
Burr-Brown from TI USB Audio DAC at usb-0000:00:14.0-1, full speed
デバイス番号1がUSB Audio DACであり、確かに自作DACはTI Burr-Brown製のチップを使用している。

次に /etc/modprobe.d/alsa-base.conf におけるUSB Audio DACに関する部分を赤字のように変更する。
$sudo vi /etc/modprobe.d/alsa-base.conf
options snd-usb-audio index=1

MPDの設定ファイルである /etc/mpd.conf を編集する。
$sudo vi /etc/mpd.conf
最初に bind_to_address という行を探し#でコメントアウトする。
#bind_to_address "localhost"
次の箇所ではdeviceの#を削除し、赤字のように修正する。
audio_output {
type "alsa"
name "My ALSA Device"
device "hw:1,0" # optional
# mixer_type "hardware" # optional
# mixer_device "default" # optional
# mixer_control "PCM" # optional
# mixer_index "0" # optional
}

設定が終わったら、MPDを下記のコマンドで再起動する。
$sudo /etc/init.d/mpd restart
* Stopping Music Player Daemon mpd
...done.
* Starting Music Player Daemon mpd
server_socket: bind to '0.0.0.0:6600' failed: Address already in use (continuing anyway, because binding to '[::]:6600' succeeded)
...done.
bind to '0.0.0.0:6600' failedのエラーであるが、 Binding to IPV6 before IPV4 とのことで、以下のように記述すると解消される。
#bind_to_address "localhost"
bind_to_address "127.0.0.1"
bind_to_address "192.168.0.75"
ただし、筆書の場合、エラーが出たままでも問題なく動作しているが、気になるようであれば追加されたい。
なお、"192.168.0.75"はNICに割り当てたIPである。

sambaのインストール・設定

この状態で内蔵ストレージの使用状況を調べてみると約20GBが未使用となっている。
$ df -m
                 
Filesystem 1M-blocksUsed Available Use% Mounted on
/dev/mmcblk0p2 26829 5184 2026021% /
none 1 0 10% /sys/fs/cgroup
udev 928 1 928 1% /dev
tmpfs 188 2 187 1% /run
none 5 0 5 0% /run/lock
none 938 1 938 1% /run/shm
none 100 1 100 1% /run/user
/dev/mmcblk0p1 511 4 508 1% /boot/efinone

この20GBを楽曲ファイルの格納場所にすると、16BIT44.1kHzwavで換算して音楽CD約40枚分の楽曲ファイルを収めることができる。
筆者は楽曲ファイルの管理はWin7PCのiTunesで行い、楽曲ファイルは自作NASに格納しているが、お気に入りや新着のファイルだけでもLIVAの内蔵ストレージに収めれば、再生中に楽曲ファイルをLAN経由で引っ張って来なくても済むので合理的であろう。

ファイルをNASからLIVAへコピーするために、LIVAにsambaをインストールしてWin7PCで共有できるようにする。
samba関連の2つのソフトをインストールする。
$sudo apt-get install samba
$sudo apt-get install samba-common-bin

sambaで使用する共有フォルダー /music を作る。
楽曲ファイルは /music に格納されることになる。
$sudo mkdir /music

/musicに楽曲ファイルが格納されるので、 /var/lib/mpd/music ディレクトリーへリンクする。
$sudo ln -s /music /var/lib/mpd/music

sambaの設定ファイルを編集し下記を追記する。
$sudo vi /etc/samba/smb.conf
[music]
comment = music
read only = no
locking = no
path = /music
guest ok = yes
force user = root

次にpasswdを設定する。今回はsambaとした。
$sudo smbpasswd -a root
New SMB password:samba
Retype new SMB password:samba

sambaを再起動して完了である。
$sudo service samba restart
Stopping Samba daemons: nmbd smbd.
Starting Samba daemons: nmbd smbd.

Win7PCからLIVAの/musicへアクセスする場合、スタートボタンのすぐ上の検索窓に \\192.168.0.75 と入力し、次に検索されたコンピュータをクリックし、ID:root、PASSWD:sambaとタイプすると共有フォルダー /music が見えるはずである。
これでWin7PCから楽曲ファイルをLIVAの/musicへ簡単にドラッグでコピーすることができる。

GMPCのインストール・再生

ここまでの設定が終わり、/musicに楽曲ファイルが格納されると再生したくなる。
MPDの再生と言えば、MPDクライアントソフトのGnome Music Player Client(GMPC)であろう。

Ubuntu Studioのデスクトップ画面からインストールしてみる。
Software Centerを立ち上げ、検索窓にgmpcとタイプしてインストールする。

インストール後、デスクトップにGMPCのアイコンを配置し、それをクリックしてGMPCを立ち上げる。
Music→Preferencesとすると下記の画面となるので、Connectボタンを押すとMPDに接続される。

下記の画面でServer→Update Databaseとし、しばらくするとDatabaseが最新の状態となる。
その後、Databaseのバーをクリックすると/musicに格納された楽曲ファイルが現れるので、選曲して再生する。

VGA Dummy

LIVAをMusic Serverとし、他のPCやタブレットからコントロールする場合はLIVA本体にディスプレーを接続する必要がない。
ところがLIVAではディスプレーを接続していないとOSがブートしない。
ただし、一旦、起動した後はディスプレーを外してもOKである。
LIVAはヘッドレス起動が出来ない仕様となっているが、これを回避する方法がある。
それはVGA Dummyと言う方法で、ダミーをLIVAに接続してあたかものディスプレーが接続されているかのように装う。
ダミーの構造は非常に簡単であり、筆者は古いVGAケーブルを切断し、D-SUBの各ピンと芯線の導通をテスターで調べ、3本の75オームの抵抗を接続した。
抵抗とケーブルの接続箇所は小型プラケースに収めた。

まとめ

適当なディスプレーがあれば、LIVAのX Windowを稼働させてGUIでコントロールするのも良いが、残念ながら持ち合わせてはいない。
VGA Dummyも用意したので、LIVAはCUI専用とするため、/etc/default/grubを下記のように書き換えた。
$sudo vi /etc/default/grub
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet splash"
#GRUB_CMDLINE_LINUX=""
GRUB_CMDLINE_LINUX="text"
設定を反映させる。
$ sudo update-grub

これでLIVAは完全にMusic Serverとなったので、Win7PC上のGMPCやアンドロイド・タブレットのDroid MPD Clientでアクセスすることになる。

気になる音であるが、リビングの常用システムとなっている平衡出力を持っているDACと組み合わせてVoyage MPD on NUC (DN2820FYKH)と比較してみた。
音としてはDN2820FYKHの方が一枚上手と感じたが、実はDN2820FYKHの電源であるが、付属していたACアダプターではなく自作リニア電源に変えているので、その関係もあるかもしれない。
LIVAもリニア電源で駆動させると違った結果になるかもしれない。
他のUSB-DACとの相性であるが、DN-USB DACだけは、44.1kHz16BITでも96kHz24BITでも再生音量が小さくなってしまう。

OSとMPDのバージョンは以下のとおりである。
$ uname -a
Linux mac-BAT-MINI 3.13.0-24-lowlatency #46-Ubuntu SMP PREEMPT Thu Apr 10 19:40:23 UTC 2014 x86_64 x86_64 x86_64 GNU/Linux

$ mpd -V
Music Player Daemon 0.18.7

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Last Update 12/May/2014 by mac