Voyage MPD on NUC (DN2820FYKH)
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Intel NUC DN2820FYKH

Intel NUC(Next Unit of Computing) は約 10cm 四方というコンパクトなフォームファクターを採用したPCである。
確かにコンパクト、静音なので、LinuxのMusic Serverにも最適であり、しかもx86であるので、Voyage MPDをインストールできる。

今回はCeleronプロセッサー搭載モデルのキットであるDN2820FYKHを使用した。
キットには本体( 116.6mm*112.0mm*51.5mm)の他、電源、VESAマウントブラケットも含まれており、メモリー、ストレージを追加するだけでOKである。

付属している電源用のACアダプターは12V3Aで、各国の電源プラグが同梱されている。

メモリー、ストレージの組み込み

DN2820FYKHではメモリーは1枚しか挿せないので、DDR3 1600Mhz 4GBのものを用意した。
4GBあれば、MPDに飽きてWindowsをインストールしても大丈夫であろう。
なお、メモリーはLow Voltage 1.35Vのものを使用する。

OSをインストールするためにはHDD又はSSDが必要であるが、Voyage MPDをインストールするだけであれば、1GBもあれば十分なので、2.5インチSATA→CF変換アダプターと手持ちの4GB CFを使うことにした。
使用したアダプターは有限会社ルートアールのPCB-CF/25SATAである。

アダプターの外形は2.5インチHDDと同じであるが、取り付けベイに装着しようとするとかなり窮屈だったので、ベイ取り付け用ネジを緩めて収めた。

Voyage MPDのインストール

最初に、BIOSの設定を行う。
DN2820FYKHのBIOSは、Intel Visual BIOSであるが、今までのものとはかなり構成が違っており、デフォルトではUEFIが選択されている。
このままではUSBメモリーから起動しないので、Leagcyを選択して必要な変更を実施する。

いよいよ、 Voyage MPDをDN2820FYKHにインストールするわけであるが、手順はvoyage-mpd-0.9.1のインストール備忘録に記載した手順で問題ない。
備忘録ではインストール用PCがintel D945GCLF2となっているが、これをDN2820FYKHに読替えてもらいたい。
最新のvoyage-mpd-0.9.2.isoを格納したブート用USBメモリーをDN2820FYKH前面のUSB3.0ポートに挿入し、BIOSでUSBメモリーからブートするように変更する。
その後は、備忘録に沿って設定していくが、今回はALIXではなくPCにインストールするので、赤字のように9 - Generic PCを選択している。
Please select Voyage profile:
1 - Keep existing settings
2 - 4501
3 - 4511/4521
4 - 4801
5 - 5501
6 - 6501
7 - ALIX
8 - APU
9 - Generic PC
10 - Notebook (pcmcia)
11 - WRAP
(default=7 [ALIX]):9

その他の設定

DN2820FYKH前面のUSB3.0ポートに自作USB-DACを接続してGMPCでアクセスしてみたが、音が出てこない。
どうやら、内蔵のオーディオとバッティングしているようである。
オーディオ・デバイスの様子を確認する。
root@voyage:~# cat /proc/asound/cards
0 [Intel ]: HDA-Intel - HDA Intel
HDA Intel at 0xd0810000 irq 107
1 [DAC ]: USB-Audio - USB Audio DAC
Burr-Brown from TI USB Audio DAC at usb-0000:00:14.0-1, full speed

一応、BIOSで内蔵オーディオをdisableにしたが・・・、念のため、以下の設定を実施した。
/etc/modprobe.d/alsa-base.conf におけるUSB Audio DACに関する部分を赤字のように編集する。
#vi /etc/modprobe.d/alsa-base.conf
options snd-usb-audio index=1

次に/etc/mpd.conf を赤字のように編集する。
audio_output {
type "alsa"
name "My ALSA Device"
device "hw:1,0"
# format "44100:16:2" optional
# mixer_device "default" optional
# mixer_control "PCM" optional
# mixer_index "0" optional
dsd_usb "yes"
}

リブートさせたら無事、USB-DAC経由で音が出た。

BIOSのアップデート

内蔵オーディオをdisableにしても効いていないようなので、念のため、DN2820FYKHのBIOSをアップデートしてみる。
Intelのサイトには4種類のアップデートの方法が紹介されているが、その中からF7 BIOS Flash Updateでトライしてみた。
現状のBIOSのリビジョンは
FYBYT10H.86A.0015.2013.1210.1722
アップデート後は
FYBYT10H.86A.0028.2014.0306.1727
となったが、アップデート開始から終了まで10数分かかった。

おわりに

NUCは高性能な割にはコンパクトで、Music Serverにしても置き場所に困ることはない。
NUCにしたからと言って、音が激変したとかはないが、サウンドに厚みが増したと感じた。
DN2820FYKHの起動は本体の電源スイッチを押し、停止は念のため、SSHで
#halt
としているが、問題なくシャットダウンし電源ランプも消灯する。

今回は手持ちの4GB CFをストレージとして使用したが、1TBのHDDが数千円で購入できる。
1TBのHDDへVoyage MPDをインストールすると、使用する領域は1GBにも満たず、ほとんどが未使用領域となってしまう。
それでは、もったいないので、余った領域を楽曲ファイルの格納スペースにしてはいかがであろうか。
筆者のサイトにもこのような使用例「NAS & Jukebox」があるので参考にされたい。

OSとMPDのバージョンは以下のとおりである。
# uname -a
Linux voyage 3.10.11-voyage #1 SMP Mon Sep 16 10:53:01 HKT 2013 i686 GNU/Linux
# mpd -V
Music Player Daemon 0.18.4

ストレージの交換

ECSのMINI PC KITであるLIVAを使用したMusic Serverを製作したが、LIVAでは32GBの内蔵ストレージがあったので、本体に楽曲ファイルを格納してみた。
LAN経由でNASから楽曲ファイルを引っ張ってくるよりも、本体に格納した方が合理的で、音も良いような気がする。
そのようなわけで、本機もストレージを交換して、本体に楽曲ファイルを格納してみたい。
ストレージは1TBのHDDを予定していたが、近所のPCショップに120GBのSSDが手頃な価格であったので、こちらを購入した。
NUCに使用しているアナログ電源の容量が心許ないので、HDDよりもSSDの方が消費電力が 少ないのでは思った次第である。

Voyage MPDのインストールの手順は、ストレージが120GBのSSDに換わっただけで同じであるが、本機では楽曲ファイルをネットワーク内でやりとりするためにsambaをインストールする。
筆者は楽曲ファイルの管理はWin7PCのiTunesで行い、楽曲ファイルは自作NASに格納しているが、sambaをインストールしておけば、このNASに格納した楽曲ファイルをWin7PC上でドラッグするだけで簡単に移動させることができる。

samba関連の2つのソフトをインストールする。
# apt-get install samba
# apt-get install samba-common-bin

sambaで使用する共有フォルダー /music を作る。
楽曲ファイルは /music に格納されることになる。
# mkdir /music
/musicに楽曲ファイルが格納されるので、 /var/lib/mpd/music ディレクトリーへリンクする。
# ln -s /music /var/lib/mpd/music

sambaの設定ファイルを編集し下記を追記する。
# vi /etc/samba/smb.conf
[music]
comment = music
read only = no
locking = no
path = /music
guest ok = yes
force user = root

次にpasswdを設定する。
今回はsambaとした。
# smbpasswd -a root
New SMB password:samba
Retype new SMB password:samba

sambaを再起動して完了である。
# service samba restart
Stopping Samba daemons: nmbd smbd.
Starting Samba daemons: nmbd smbd.

Win7PCから本機の /music へアクセスする場合、スタートボタンのすぐ上の検索窓に \\192.168.0.85(本機に設定した固定IP) と入力し、次に検索されたコンピュータをクリックし、 ID:root、PASSWD:samba とタイプすると共有フォルダー /music が見えるはずである。
これで楽曲ファイルをNASから本機の /music へドラッグするだけでコピーすることができる。

気になる音であるが、NASから引っ張って来るよりも良いような気がする。
また、同様な構成のLIVA Music Serverと比較すると音の違いは分かるが、筆者の駄耳では的確なコメントが出来ないので、知人のオーディオ・マニア宅に持ち込んで評価してもらおうと思っている。

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Last Update 13/Jul/2014 by mac