VoyageMPDやRaspberry Pi+MPDを使用してPCオーディオを楽しんでいる。
現状の構成は下記のとおりで、楽曲ファイルはWindows7PCに接続したUSB-HDD(I-O DATA HDL-C)に格納しており、LAN経由でサーバーへ伝送されている。
また、楽曲ファイルの管理はWindows7PC上のiTunesで行っている。
実はUSB-HDD(I-O DATA HDL-C)であるがNAS機能もあり、NASに設定してiTunesで使用してみたが、速度が遅くて音切れしてしまい、仕方なくUSB-HDDとしているわけである。
やはり、PCオーディオとしてはNASを導入してみたい。
開発用に使用しているPC (Mini-ITX D945GCLF2)はギガビットLANもあるので、これにLinux+sambaをインストールしてNAS代わりにしてみることを思いついた。
NASを含めた構成は下記のとおりで、USB-HDDがMini-ITX PC D945GCLF2に代わった形である。
見方によってはNAS用にPCが1台、増えたことになるが、MPDクライアントは別にPCでなくてもスマホやタブレットでもOKなので、そのようにすれば、全体の構成はそれほど大がかりにはならないと思う。
NASに使用するOSは使い慣れたVoyageMPDとした。
VoyageMPDはDebian系統の軽量OSでMPDがプリインストールされているが、Linuxに変わりないのでsambaをインストールしてNASにできる。
また、USBポートを自動マウントできるので、何かと便利である。
VoyageMPDをインストールするM/B D945GCLF2はCPUにDual-Core Atom、LANは10/100/1000 Mbits/secでRAMは2GBを積んでいるので、市販NASに使用されているコントローラーよりもハイ・スペックであろう。
VoyageMPDをインストールするストレージは実験なので40GBのATA-HDDである。
VoyageMPDのインストールについてはVoyage MPDのいたずらに記述した「参考にしたサイト」に有用な情報がある。
インストール後、以下について設定した。
★vi の変更を保存
root@voyage:~# remountrw
★日本時刻を設定
root@voyage:~# dpkg-reconfigure tzdata
Asia → Tokyo を選ぶ
★ .bashrc の編集
root@voyage:~# vi ./.bashrc
以下の行を追記する。
remountrw
★IP アドレスの固定化
筆者はNASのアドレスを192.168.0.95、ルーターは192.168.0.1とした。
root@voyage:~# vi /etc/network/interfaces
iface eth0 inet static
address 192.168.0.95
netmask 255.255.255.0
network 192.168.0.0
broadcast 192.168.0.255
gateway 192.168.0.1
dns-nameservers 192.168.0.1
これで事前準備が完了したので、rebootしてSSHクライアントから192.168.0.95へアクセスする。
先ず、VoyageMPDをupdateする。
root@voyage:~# apt-get update
次にsamba関連の2つのソフトをインストールする。
root@voyage:~#apt-get install samba
root@voyage:~#apt-get install samba-common-bin
sambaで使用する共有フォルダー /Music を作る。
root@voyage:~# mkdir /Music
sambaの設定ファイルを編集し下記を追記する。
userはrootでない方が好ましいが、実験なのでそのままである。
root@voyage:~#vi /etc/samba/smb.conf
[Music]
comment = Music
read only = no
locking = no
path = /Music
guest ok = yes
force user = root
次にpasswdを設定する。今回はsambaとした。
root@voyage:/# smbpasswd -a root
New SMB password:samba
Retype new SMB password:samba
sambaを再起動して完了である。
root@voyage:~#service samba restart
Stopping Samba daemons: nmbd smbd.
Starting Samba daemons: nmbd smbd.
最初にWindows7PCから接続してみる。
スタートボタンのすぐ上の検索窓に \\192.168.0.95 と入力し、次に検索されたコンピュータをクリックし、ID:root、PASSWD:sambaとタイプすると共有フォルダー Music が見えるはずである。
次にこのNASの性能をiTunesで音楽CDをリッピングし格納する時間で調べてみたい。
現状はWindows7PCに接続されたUSB-HDD(I-O DATA HDL-C)が[iTunes Media]フォルダーに設定されているので、その状態でリッピングしてみる。
12曲1時間のCDアルバムをリッピングするのに2分57秒であった。
なお、CDリッピングはWAVエンコーダ、エラー訂正の設定である。
次にNAS(192.168.0.95/Music)を[iTunes Media]フォルダーに設定して同じCDアルバムをリッピングしたところ、2分37秒となり、NASの方が20秒も早い結果となった。
当然であるが、Music共有フォルダーにはリッピングしたアルバム(636MB)が格納されていた。
なお、LAN上のHUBは100Mbps仕様なので、これを1000Mbps仕様に変更するとさらなる性能アップの可能性があるかもしれない。
次にMPDサーバーからNASへ接続してみる。
筆者はALIX3D2+Voyage MPDを常用システムとしてるので、これからNASに接続する場合、/etc/fstabの記述を変更する必要がある。
/etc/fstabを以下のように変更した。
//192.168.0.95/Music /music cifs username=root,password=samba,uid=mpd,file_mode=0644,dir_mode=0755,iocharset=utf8 0 0
Windows7PC上のMPDクライアントGMPCからアクセスすると以下のようになった。
リッピングしたCDアルバムは「中島みゆき」で、NAS側に日本語環境の設定なしでも問題なく表示されている。
ただし、NAS側で/Musicを見ると日本語環境がないので、このような表示となる。
root@voyage:/Music/Music# ls
???????????????
この構成ではMPDサーバーはNASから楽曲を引っ張り再生し、Windows7PCはMPDクライアントの役割だけである。
常用システムでは楽曲ファイルはWindows7PCに接続したUSB-HDDに格納されているので、USB接続がボトルネックになっている可能性があるが、この構成では直接、Linux上のHDDにアクセスしているので、高速になったと思われる。
曲を選択すると問題なく再生できた。
上記の「NASの構成」では、Mini-ITX PC D945GCLF2にVoyageMPD+sambaをインストールしてNASとしたが、常用システムではすでにMPD ServerとしてVoyageMPDがインストールされた組み込み用ボードALIX3D2が存在する。
そうであれば、このALIX3D2にsambaをインストールすればNASにもなり一石二鳥であるのではと思いつく。
ただし、ALIX3D2ではボード本体にHDDを接続できるポートはなく、USBポートによる接続となる。
写真は実験に使用した器材で、USB-HDDはHDD CASEにIDE HDD 150GBを組み合わせたものである。
ALIX3D2にはUSB2ポートがあるので、一方をUSB-DAC、他方をUSB-HDDに接続できる。
sambaのインストール・設定は上述のとおりであるが、
VoyageMPDではUSB-HDDを挿入すれば/media/usb0に自動マウントされるので、/etc/samba/smb.confを以下のように変更した。
[Music]
comment =Music
read only = no
locking = no
path = /media/usb0
guest ok = yes
force user = root
ALIX3D2にインストールされたVoyageMPDでは、Windows7PCに接続されたUSB-HDDにアクセスするように設定されている。
この設定は/etc/fstabに記述されているので、これをコメントアウトしてリブートする。
#//192.168.0.60/Music /music cifs username=hoge,password=,uid=mpd,file_mode=0644,dir_mode=0755,iocharset=utf8 0 0
この構成で、iTunesの楽曲ファイル格納フォルダー([iTunes Media]フォルダー)をALIX3D2上の共有フォルダーに設定し、前回と同じ音楽CD(636MB)をリッピングし格納する時間を計測したところ9分30秒であった。
使用したUSB-HDDが前回のI-O DATA HDL-Cではないため、単純には比較できないが、USB-HDDの性能差も影響していると思われる。
GMPCからも接続されたUSB-HDDの情報が表示され再生も問題なく、Windows7PC上のiTunesでも再生してみたが、こちらも音切れすることもなく全く問題なかった。
NASの実験を行ったが、高性能にするためには、やはりM/Bに直接、HDDを搭載するのが良いようである。
CPUオンボードのM/Bに、メモリ、1TB HDD、電源付きケースを組み合わせても1万数千円程度であり、これにLinux+sambaをインストールすると市販NASよりもかなり高性能なNASとなる。
また、ALIX3D2にVoyageMPD+sambaをインストールし、USB-HDDと組み合わせてMPDサーバー兼NASにしても問題なく使用できる。
ただし、MPD専用の場合とでは音の違いがあるかもしれないが、筆者の駄耳では判別できなかった。
ところで筆者の常用システムにおいては、NASを導入するメリットがあるのであろうか。
Windows7PCにUSB-HDD(I-O DATA HDL-C)を接続しているが、実はこれが立派なNASの位置づけとなっており、しかも、かなり高性能である。
でも、やはり専用のNASを導入してみたいとの思いがあるが、その場合は、オンボードCPUのM/Bで自作することにしたい。
新たに自作PCを導入して、JukeboxにもなるNASを製作してみました。