差動PP直結アンプの実験その2
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差動PP直結アンプの実験の続きである。今回は複合管を使ってみた。
球は6BM8の8.2Vバージョンである8B86FM7である。前段をSRPPとした場合、複合管を使うと片チャンネル3本となるので、ステレオでも6本で済む。

8B8

SRPP回路の構成は8B8の3極管を上側ユニットに使い、下側ユニットは12AX7と12AT7を試してみた。 回路図には12AT7を使用した場合の電圧を記入してある。

12AX7を使用する場合はCRDを1mAとし、バイアス用抵抗を2.2kから2.7k程度に変更する必要がある。この場合、出力段のグリッド電圧は30V程度、上昇し、結果的にカソード電圧も上昇するのでプレート-カソード間電圧が減少し出力が減少する。




DCバランスはSRPP段のカソード入れた100オームの可変抵抗で調整する。出力トランス東栄OPT-5のP1-P2間にテスターを接続して、この電圧が最小となるように100オームの可変抵抗を調整するが、調整しきれない場合は別の8B8に挿し換えることになる。
そのため、ステレオの場合、最低5本、できれば6本程度の8B8を用意することになる。
東栄OPT-5の1次巻線抵抗は374Ω±5%であるので、P1-B・P2-B間は187Ωとなる。
そのため、アンバランス電流(mA)はテスター表示電圧(mV)を187で除した値となる。
P1-P2間の電圧はフラフラしているが、概ね±数百mVに収まっているのでアンバランス電流(mA)は数mA以内となる。

やはり12AX7の方が感度が高いが、最大出力はプレート-カソード間電圧が高い12AT7が有利である。
12AT7でも数dBのNFBをかけることができそうである。
ノン・クリップ出力は12AT7で約1.5Wとなった。

12AT7の方がインピーダンスが低くなるので、高域特性も伸びている。
東栄のOPT-5は低域がダラ下がるとの評判があるが、それがデータにも反映されている。

6FM7

試験回路は上記8B8と同じである。
SRPP回路の構成は6FM7の3極管を上側ユニットに使い、下側ユニットは12AT7である。バイアス用の抵抗は2.2kと10kをパラにしたので1.8kである。
出力段の定電流回路は70mAに設定した。

各部の電圧は以下のとおりである。

6FM7の動作点をプレート電圧180V、プレート電流35mAとした。

8B8よりも高域の落ち込みが早いがゲインに余裕があるので、数dBのNFBをかければ改善できると思われる。
低域の傾向は8B8と同じである。

6FM7その2

当然であるが、直結にするとDCバランスは球や使用部品の温度特性、商用電源の変動、周囲温度の変動等の影響を受けやすくなり、終段管プレート・アンバランス電流もフラフラと落ち着かない。
終段管の定電流回路を外したらどうなるか試してみた。LM317Tの耐圧不足を補うために1kオーム20Wの抵抗が挿入されているので、これに300オーム10Wを追加し、トータル1.3kオームとし、定電流回路を外した。
定電流回路を外した方が終段管プレート・アンバランス電流の変動が少ないようである。 数時間に渡ってアンバランス電流を計測してみたが、±1mA程度に収まっていた。

ゲインの違いは終段管の動作点が若干、ずれたためである。

周波数特性は測定誤差を考慮するとほぼ、同じである。

まとめ

8B8と6FM7を使用して差動直結の実験を行った結果であるが
・SRPPは双3極管に限定されるわけではなく、別種の球を組み合わせても問題ない。
・このような方法で直結にするとDCバランスは安定しないがそれでも許容範囲に入っているようである。しかし、長時間、再調整なしでその状態を保つことができるかどうかは不明である。
・終段の定電流回路を外して抵抗に置き換えた方がDCバランスのフラツキが少なくなるようである。
・音の傾向であるが、直結にすると音像がシャープになる感じがした。ただし、定電流回路を外した場合、音像がシャープになる感じが減少し、通常のコンデンサー・カップリングの差動PPよりも若干、ましかなという程度である。

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Last Update 27/Jun/2010 by mac