差動PP直結アンプの実験その3
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「差動PP直結アンプの実験」「差動PP直結アンプの実験その2」の続きで、今回は小出力アンプである。

オール真空管ではなく、前段はFETを使用したが、 ぺるけ氏の「情熱の真空管」「プリアンプ&ヘッドホンアンプを自作しよう!」にある「真空管式差動ヘッドホン・アンプ」のコピーである。
さらに、前段に使用したFETもぺるけ氏に分けていただいたモノである。

5687

球は5687を使用した。この球は12AX7と同じ大きさであるが、 片ユニットあたりのプレート損失が4.2Wもあり、さらにヒーターも6.3V0.9Aと非常に大食いである。
ちなみに12AX7は、ヒーターが6.3V0.3A、プレート損失が1.0Wなので、 5687が如何に特別であるかがわかる。
トランスは東栄のOPT-5Pを10kで使うため、5kのロード・ラインを引き、動作点を105V10mAとした。この場合、プレート入力は1W強と軽めであるが、それでも結構、熱くなる。


電源トランスはタンゴのST-130を使用し、倍電圧整流ではなく、そのまま、ブリッジ整流している。
バイアス用電源は6.3Vのヒーター巻線が余ったので、それを整流して使用した。
前段のFET回路やFETリップル・フィルターはラグ板に組み込んである。

前段のFET回路は、ラグ板に組み込めるのでお手軽な感じである。
ステレオにしても真空管が2本だけなので、コンパクトに作れると思われる。

特性

NFBは3dBかけてある。
ノン・クリップ出力は約0.3Wとなった。

ノン・クリップ出力が0.3Wなので、周波数特性は8オーム負荷で1V、出力0.125Wで計測した。
出力トランスに使用した東栄のOPT-5Pは低域がダラ下がるとの評判があるが、それがデータにも反映されている。ただし、高域はきれいに伸びている。

歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータであるが、私の環境では実際よりも大きな数値になっていると思われるが、相対的な比較には使える。
1kHz、10kHzのカーブは揃っているが、100Hzのカーブは良くない。周波数特性でも低域がダラ下がりとなっているが、歪率特性にもその影響が出ている。
「差動PP直結アンプの実験その2」でも東栄のOPT-5Pを使用した。その時は残念ながら歪率特性は計測しなかったが、計測していれば同様な結果となったかもしれない。

まとめ

当初、前段FETのソースにDCバランス調整用に100オームの可変抵抗を入れるつもりであった。
しかし、省いても出力トランスのP1-P2間の電位差は数十mVで安定している。出力トランスの抵抗値は数百オームあるのでプレート電流の偏差は1mA以下となり、全く問題ない。
これはぺるけ氏から分けていただいたFETが揃っていたことと、5687の2つのユニットが揃っていたことによるものと思われる。
もちろん、FETのドレインに接続した10kの抵抗も同一の値になるように選別してある。

本機はモノラルであるが音出ししてみた。
音の傾向は他の直結差動PPアンプと同じであるが、やはり余裕が感じられないのと低域が弱い感じがする。
8B8差動PP直結アンプとてもノンクリップ出力は1Wあるかなしかであるが、やはりこちらの方が良い。

出力トランスを替えればまた違った印象になるかもしれないが、この東栄のOPT-5Pではこんなものかもしれない。
このトランスは差動PP直結アンプの実験用に1個だけ、購入したものであるが、 結果が良ければ東栄のOPT-5Pをもう1個、購入してなるべくコンパクトなステレオ・アンプを作ろうという目論みもあったが、検討の余地がありそうである。

トランスの換装

EL34を使用した差動PP用にタンゴFE-25-8を購入したので、OPT-5Pと換装してみた。
タンゴFE-25-8は値段も重量もOPT-5Pの数倍であるので、比較対象としては違い過ぎる感もあるが、そこが面白いところである。

タンゴFE-25-8の方が低域も高域もきれいに伸びている。

タンゴFE-25-8に換装したら1kHz、10kHz、100Hzのカーブが揃うようになった。

さすがに値段相応の効果があったが、タンゴFE-25-8と5867を組み合わせてのステレオ・アンプというのも場違いな感じがする。
音出ししてみたが、8B8差動PP直結アンプとの差が縮まった感じがした。
春日無線変成器のKA-8-54P(3,200円)あたりと組み合わせてみたい。

もっと出力を

スピーカーで聞く場合、さすがにノン・クリップ出力0.3Wでは、ちょっと心許ないので、 もう少しパワー・アップできないか試みた。
当初、片ユニットあたりのプレート電流は10mAとしていたが、差動PPの出力はプレート電流に比例するので、パワー・アップする場合、プレート電流を増やす必要がある。
プレート電流を1.5倍の15mAとすると出力は2.25倍となる。プレート電流を増やすためには、プレート電圧を上げる必要があり、動作点を140V15mAに設定した。
さらに前段のFETの供給電圧も22.5Vから25.7Vへ変更した。

ノン・クリップ出力は0.3Wから0.7Wへアップした。

出力トランスは同じく東栄のOPT-5Pであるが、プレート電流を流した方が低域の特性が改善されている。NFBは3dBかけてある。

パワー・アップしたら動作点がより最適化されたようで、全体的に低歪みとなった。

左チャンネルを本機、右チャンネルを8B8差動PP直結アンプのステレオ構成として音出ししてみた。
音色が似ているので、違和感はなかったし、パワー不足が感じられることもなかった。
1ユニットあたりのプレート入力は1Wから2.1Wと倍増したが、それでも定格プレート損失4.2Wの半分である。
しかしながら、12AX7と同じ大きさのバルブに両ユニット合計で4.2Wも突っ込んで、本当に大丈夫なのかなと思ってしまう。
また、この動作点で使う場合、プレート電圧が160Vと中途半端な値であるが、絶縁トランスの1次側を90V、2次側を120Vで使えばなんとかなるかもしれない。

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Last Update 20/Sep/2010 by mac