差動PP直結アンプの実験その4
HOME BACK

「差動PP直結アンプの実験」「差動PP直結アンプの実験その2」「差動PP直結アンプの実験その3」の続きで、今回は古典球を使ったアンプである。

手持ちで古典球の部類に入るのは452A3300Bであるが、300Bは20年ほど前に入手した中国製なので、文字通りの古典球は45と2A3である。
45と2A3は45/2A3 Single Stereo Amplifierで使っているが、今回は当然、シングルではなくて差動PPとなる。
前段は 12AT7 SRPP差動で終段とは直結なので、今まで実験・製作したアンプとコンセプトは同じである。
電源の関係で球は45とした。

45

B電源は20VA絶縁トランスの120Vタップを倍電圧整流し、12Vと10Vの巻線のあるトランスがあったので、12AT7のヒーターは12Vで点火し、前段のマイナス電源は10Vを半波整流した。

問題は45のフィラメントであるが、3V6Aのスイッチング電源があり、出力電圧調整ボリウムを回したら、2.5Vが得られたので、DC点火とした。
45の動作点を200V25mAとしたので、ロードラインは約5kとなり、東栄のOPT-5Pを10kで使っている。

特性

前段のゲイン不足でドライブしきれていない。
ノン・クリップ出力は約1.1Wである。

ノン・クリップ出力が1.1Wなので、周波数特性は8オーム負荷で2V、出力0.5Wで計測した。

出力トランスに使用した東栄のOPT-5Pは低域がダラ下がるとの評判があるが、それがデータにも反映されている。ただし、高域はあばれもなくきれいである。

歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータであるが、私の環境では実際よりも大きな数値になっていると思われるが、相対的な比較には使える。
1kHz、10kHzのカーブは揃っているが、100Hzのカーブは良くない。周波数特性でも低域がダラ下がりとなっているが、歪率特性にもその影響が出ている。

まとめ 45編

古典球の差動PPは初めての経験である。
手持ちの3V6Aスイッチング電源がフィラメント用に使えるのではないかと思ったのが、この実験を行うきっかけとなった。
古典球はバイアスが深いので、プレート電圧160Vの12AT7SRPPではドライブしきれていない。12AT7への供給電圧を200V超にしたいが、そうすると45のグリッド電圧も上昇し、45のプレート電圧も高くしなければならず、実験に使用した20VA絶縁トランスでは無理な話である。

本機を左チャンネルにし、右チャンネルは5687差動PP直結アンプにして音出ししてみた。
低域は当然、5687差動PP直結アンプに分があるが、音色は左チャンネルの本機の方が好ましく感じられた。
本機の出力トランスを東栄のOPT-5Pではなく、タンゴのFE-25-8に換装するとどんな音になるのだろうか・・・。

2A3

45/2A3 Single Stereo Amplifierでも、回路定数を変更しないで2A3に挿し換えてみたが、今回もトライしてみた。

本機ではフィラメント(カソード)電流を2本で50mAに規制してあるので、2A3に挿し換えてみても動作点が変わることはない。
ただし、グリッド電圧は45よりも下がり、60V程度となった。

2A3の方がかなりゲインが高い。
ノン・クリップ出力も45の約1.1Wに対して2A3は約1.6Wと50%増しとなった。

周波数特性は45と比較するため、8オーム負荷で2V、出力0.5Wで計測した。

2A3の方が低域は伸びているが、高域の落ち込みが早い。

歪率特性は45と比較すると100Hzの特性が良くなっている。
また、出力に余裕があるためか、0.5W付近で比較すると45よりもかなり低くなっている。

まとめ 2A3編

45と同じ方法で音出ししてみた。
試聴の印象は「2A3の音だ」である。
試聴に使ったスピーカーはFOSTEXの10cmというチープなモノなので、元々低域は出ない。そこへ中音域に特徴のある2A3である ので、ことさら中音域だけが強調されている感じがする。
でも、このような音も「悪くはないなー」という感じである。

動作点の200V25mAでは、2A3のプレート損失15Wの1/3しか使用していないし、出力もPPなのに2W弱しかない。
普通、このような使い方はしないが2A3で差動PPの音を体験することができた。
ヒーター容量を考慮しておけば、45と2A3をそのまま挿し換えることができる差動PPアンプを作れそうである。

1626

1626を古典球と呼ぶのにはちよっと心苦しいが、データを採ってみた。
1626は私にとって初めての差動PPアンプである1626 PP Stereo Amplifierに使用したが、直結化の過程で6FM7差動PP直結アンプ に作り替えたので、球が遊んでいたのである。

1626の動作点を200V25mAとしたので、ソケットを入れ替えただけである。

ゲインは45と2A3の中間となった。
ノン・クリップ出力も45の50%増しの1.6Wとなった。

周波数特性は8オーム負荷で2V、出力0.5Wで計測した。

特性は45と近似している。

歪率特性は45と近似している。

まとめ 1626編

音出ししてみたが、2A3ほどの特徴がなく45と同じ傾向で、ある意味おとなしい音である。
データも45と非常に似通っており、カソードがある45といったところである。

HOME BACK

Last Update 30/Oct/2010 by mac