WG、WSによる歪率の測定
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歪率の測定

真空管アンプを製作すると各種特性を測定したくなる。低周波発振器と電子電圧計があれば周波数特性、入出力特性等は測定できるが、歪率だけは相当の器材がないと測定は困難である。
しかし、世の中、よくしたもので 「趣味のオーディオ製作(善本さんのページ)」
「WaveSpectraを用いた歪率測定のしかた」 というのが紹介されている。
「WaveSpectra」efuさんが発表している「高速リアルタイム スペクトラムアナライザ」で、筆者もすでに 自作無線機器の測定用ツールとしてすでに使用している、なじみのソフトである。

趣味のオーディオ製作(善本さんのページ)で紹介されているのは96KHzサンプリング24ビットサウンドボードと「WaveSpectra」を組み合わせてPCで測定するという方法である。
96KHzサンプリング24ビットサウンドボードであるが、手持ちのEDIROL UA-1EX USB AUDIO INTERFACEに96KHzサンプリング24ビットの録音機能があるのでこれを使えばOKである。

低周波発振器

趣味のオーディオ製作(善本さんのページ)で紹介されている方法では信号源として低周波発振器を使用している。
しかし、筆者の所有している低周波発振器はTRIO AG-202Aという大変な年代物なので、先ずはこの発振器自体の特性を測定してみた。
スペクトララムを観測すると電源由来の50Hz、100Hzや出所不明の18.5kHzのスプリアスがあり、1kHz1V出力時の歪率は0.3〜0.4%がやっとというところである。さらに発振器の出力を絞ってもこれらにじゃまされて歪率は改善されない。
これでは歪率測定の信号源としては使えそうもない。

efuさんにはPCで実現できる多機能 高精度 テスト信号発生ソフト「WaveGene」があるので、これを低周波発振器の代用にしてみる。
「WaveSpectra」、「WaveGene」を使った歪率測定についてはefuさんによる詳細な解説があり、正確な測定をするためにはかなりのテクニックが必要となる。
しかし、EDIROL UA-1EX では96KHzサンプリング24ビットの録音再生を同時にこなせないので、無理を承知で2台のPCにWGとWSを別けてみた。

Netbook PCに「WaveGene」をインストールし自作USB-DACを経由させたアナログ出力をEDIROL UA-1EXでデジタル信号に変換して「WaveSpectra」で計測する。
測定値は0.08%から0.1%とTRIO AG-202Aに比べて優秀である。しかし「WaveGene」の出力を絞ると残留スプリアスの影響なのか、 歪率は悪化してしまう。

自作USB-DACにもUA-1EXにもアナログ・アンプが入っているので、この場合の歪率はどれを指すのかいささか疑問であるが、この測定システム全体の歪率ということであろう。
トータルではPC+WaveGene+自作USB DACの組み合わせの方がまともなので、低周波発振器の代用は十分に務まりそうである。

アンプの歪率測定

上図はアンプの歪率測定システムである。
アンプ出力が1Wでも8オーム・ダミーロード両端の電圧は2.8Vにも上り、DACの規定入力をオーバーしてしまうので、規定入力以下となるようにATT BOXのボリウムで調整する。
ATT BOXといっても左写真のように、50kオームBカーブのボリウムに入出力RCA端子を組み合わせただけである。
このシステムで自作真空管アンプの歪率を測定してみた。
下図はVT25/VT25A Stereo Amplifierの歪率特性である。出力1.0Wの歪率は2.7%となっている。

下図は45 Single Stereo Amplifier SRPP直結の歪率特性である。出力1.0Wの歪率は3.0%となっている。
VT25/VT25A Stereo Amplifierと傾向は似ているが、こちららの方が小出力時の歪率が高くなっている。

低周波発振器の入れ替え

低周波発振器をケンウッド AG-203Aへ入れ替えたので、この発振器の歪率を測定してみた。
下図のような特性となり、これならば「WaveGene」の代わりが十分に務まる。 やはりPCを2台使った歪率測定よりも手軽である。

現在の歪率測定の方法は下図のようなセットアップで行っている。

まとめ

本システムでいろいろな歪率測定を行ったが、低レベルでは測定する毎に違った結果が出てしまった。
しかし、一定レベル以上の測定では再現性が高かったので、自作アンプの相対的評価には十分、使用できると思われる。

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Last Update 23/Nov/2011 by mac