サンワサプライ株式会社のUSBスピーカーMM-SPU2WHを使っている。
直径10cmの球形でバックにはバスレフポートの穴が開いている。
このUSBスピーカー、USBケーブルをPCに接続するだけで「USB-DAC+アンプ+スピーカー」の機能が働き、PCに格納されたデジタル音源をスピーカーで楽しむことができる。音も安物CDラジカセよりはマシだと思う。
しかし、比較してはイケナイと思うのだが、常用システムの「自作DAC+自作真空管アンプ+FOSTEXスピーカー」とは雲泥の差がある。
この差がどこから来ているのか確かめてみたくなった。
何はともあれ、USBスピーカーの中がどのようになっているのか調べる必要がある。
スピーカー前面のネットを外し、スピーカー・ユニットの取り付けネジを外すと内部にアクセスできる。
基板は樹脂でケースに固着されている。
さらにスピーカー・ケーブルとUSBケーブルも貫通穴が樹脂でコーキングされている。
基板を取り出すために、スピーカー・ケーブルはニッパーで切断したが、USBケーブルは切断したくなかったので、貫通穴から取り出すためにプラスチックのスピーカー・ケースの方をニッパーで切り裂くことにした。
基板を詳細に点検すると使用されているICはC-Media CM102-A+/102S+USB 2CH Audio Controller for Speakerであることが判った。
このICはUSB IF+DAC+Power Amplifierの機能が統合されており、しかもUSB電源の5Vで動作する。
とりあえず、切断したスピーカー・ケーブルに別の線をつなぎ足して、FOSTEX FE103ENをバスレフ箱に入れたスピーカーで聞いてみた。
さすがにオリジナルの球形スピーカーよりも格段に良い音である。
特性がどのようなものか興味があったので、PCにインストールしたWG
から信号を入力して負荷を8オームのダミーロードとして
計測してみた。
ノン・クリップ出力は1.2Vで、入力を増やしても出力は一定であり波形は崩れなかったので何らかのゲイン・コントロールが機能しているようである。8オーム負荷で出力は0.18Wとなる。
周波数特性の方はみごとなカマボコ型であるが、元々の球形スピーカーと組み合わせるのであれば低域は出ないので、この特性で問題ないのかもしれない。
オリジナルの回路は以下のようなものであり、出力側のLPFは省かれていた。
低域の落ち込みは出力の470uFを増やせば改善できそうである。
また、出力をオシロで観測すると高調波が乗っていたので、やはりLPFは付けたいところである。
とりあえず、470uFを1000uFに変更して周波数特性を計測してみた。さらに負荷を40kにした場合も計測したみた。
1000uFにすると低域はかなり改善されている。また、スピーカーではなくで別のアンプを接続することを想定して負荷を40kにしたわけであるが、低域はかなり延びてきた。
この状態でも試聴したが、1000uFにすると低域の聞こえ方がかなり良くなってくる。また、この後に真空管アンプを接続してUSB-DACとしてみたが、やはり常用の真空管USB-DACと比べると見劣りする。
基板を別のケースに入れて、USB-DAC付きのアンプとしてまとめてみた。
エピローグ
電源もあえてUSBからではなく、別電源として5Vのスイッチング電源を用意した。
基板上のその他の電解コンデンサーも増量した。また、ジャンク箱出身のフェライト・コアに3ターン巻いたLと1uFのコンデンサーでLPFを形成し挿入した。
最終的な回路は以下のようになった。
この状態で再度、周波数特性を計測してみた。
LPFを挿入したことで低域特性には変化はないが、8オーム負荷では高域の落ち込みが改善されている。さらに10kオーム負荷では高域に小さなピークができてしまった。
LPFの調整が必要なようであるが、とりあえずこれでお仕舞いである。
常用システムの「自作DAC+自作真空管アンプ+FOSTEXスピーカー」と改造前のオリジナルUSBスピーカーの音の差であるが、やはり一番の要因はスピーカー・システムであろう。それなりのスピーカー・システムを使えば、それなりの音となる。
アンプ部もコンデンサーを増量したり、LPFを挿入してチューニングしたが、それなりの効果は出ている。
ところで、本機と「FOSTEX FE103EN+バスレフ箱」スピーカーの組み合わせでしばらく聴いてみた。PCに取り込んだCDを聴く分には良いが、インターネット・ラジオのようなビットレートの低い音源の場合、歪みぽっくなり、あまり良くない。
ICのCM102-A+は大阪の共立電子から1個500円で購入できる。この程度の回路であれば、蛇の目基板で簡単に再現できるので自作しても面白いと思われる。
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