Mini-ITX Serverについて
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サーバーの入れ替え

自宅サーバーマシンとして富士通のデスク・トップPCを使っていたが、電源ファンから異音が出始めた。このPCは2005年4月に2,000円で買った中古品であるが、それでも1年半以上使えたことになる。十分、元は取ったのでサーバー用マシンを新調することにした。

Mini-ITX

自宅サーバーではwebとメールのサービスしかしていないので、高性能なマシンは必要がない。今まで使っていた富士通製のマシンもP233の今となっては鈍足マシンであるが、サーバー運用上は全く問題ない。かえって最新のM/BとCPUではオーバースペック気味である。そんなわけで以前から気になっていたMini-ITXフォームのM/Bを使うことにした。値段だけ考えると格安M/Bにセレロンあたりを組み合わせた方がリーズナブルであるが、消費電力やファンの騒音を考えるとMini-ITXの方に分がありそうである。購入したのはPCショップに置いてあったVIA EPIA-ML 6000EAである。
6000EAのスペックは搭載プロセッサVIA Eden 600MHz(ファンレス)、メモリ 1*184pin DDR266 DIMM 最大 1GB、チップセット VIA CLE266 ノースブリッジ・VIA VT8235 サウスブリッジ 、VGA実装済み、LAN10/100 Base-T(VIA VT6103)等でサーバー運用に最適である。
メモリースロットが1本しかないので、本当は512MBのメモリーにしたかったが、今までのサーバーのメモリー消費状況から256MBでも行けることが判っていたのでDDR266 256MB DIMMも購入した。
ケースもMini-ITX用の小型のものがあるが、サーバー用としては前面からHDDが抜き差しできた方が便利なので、小さめのミニタワーを購入してリムーバブル・ケースと組み合わせた。購入したケースのM/B取り付け用穴とMini-ITX M/Bの取り付け穴はぴったり合うので、ケースを加工する必要は全くない。自宅サーバーは24時間、通年運用となるので、大きめのケースの方が通気の面でも好ましいかもしれない。
左が今までの富士通製マシン、右がマイクロATX用ケースに組み込んだVIA EPIA-ML 6000EA M/Bである。さすがにMini-ITXなのでかなり余裕がある。

オンボードLANの設定

リムーバブル・ケースを装着し、今まで使用していたFreeBSDがインストールされていたHDDを差し込んで電源ONとした。ブート・シーケンスは順調に進み、login画面が出た。psコマントで確認すると必要なサービスも立ち上がっている。しかし、LAN内からwebにアクセスするが到達しない。 デバイスの状況をdmesgコマンドでチェックする。
%dmesg
CPU: VIA C3 Nehemiah (666.55-MHz 686-class CPU)
Origin = "CentaurHauls" Id = 0x698 Stepping = 8
Features=0x381b83f
real memory = 234815488 (229312K bytes)
avail memory = 222855168 (217632K bytes)



vr0: port 0xe800-0xe8ff mem 0xde001000-0xde00
10ff irq 11 at device 18.0 on pci0
vr0: Ethernet address: 00:40:63:ea:7b:d7
となった。
オンボードLANがvr0として認識されている。今度はifconfigコマンドで確認すると
%ifconfig
rl0: flags="
と今までのマシンで使っていたNICのrl0のままである。これではオンボードLANが動作しない。オンボードLANは VIA VT6103 10/100 Base-Tであり、FreeBSDではこれがvr0として認識されているので、IP等の情報を付加させる必要がある。rootになって
#/stand/sysinstall
Configure Do post-install configuration of FreeBSD
Networking Configure additional network services
Interfaces Configure additional network interfaces
と進むと
vr0 VIA VT3043/VT86C100A Rhine PCI ethernet card
が出てきたので、必要な情報を入力してリブートした。
今度は
%ifconfig
vr0: flags=8843 mtu 1500
inet 192.168.0.10 netmask 0xffffff00 broadcast 192.168.0.255
と変更された。
6000EAのLANはVIA VT6103であり、厳密には使用しているFreeBSD4.10のデフォルトのドライバーとは合わないようであるが、とりあえず、問題なく動作している。ただし、VT6103の性能が100%発揮されているかは不明である。

その他の設定

その他の設定も行わないとLANに接続できない。先ず、/etc/rc.confを書き換える。
# vi /etc/rc.conf
ifconfig_rl0="inet 192.168.0.10 netmask 255.255.255.0"
となっているのでのrl0をvr0に書き換える。 ipf.rulesにもrl0を記述してある箇所があるので
#vi /etc/ipf.rules
pass out on rl0 all head 250
pass in on rl0 all head 200
のrl0をvr0に書き換える。
以上、2つの設定ファイルでNIC関連の箇所を書き換え、リブートすればOKである。今度はLANからwebにアクセスすると無事、到達できた。携帯を使って自宅サーバのwebにアクセスするとこちらもOKであった。

ちょっとしたトラブル・シューティング

webもメールもOKとなったので、Mini-ITXでのサーバー運用を開始した。いつものように/var/logにある各種ログを点検したが、タイムスタンプが古いままである。LAN内からwebにアクセスしてもhttpd-access.logに記録されていない。maillogも同様である。まだ、どこか書き換えていない設定ファイルがあるのかといろいろと探したが、それもなかった。何となくマシンの時間が怪しいとにらんでdateコマンドで確認すると数時間、遅れていた。早速、ntpdateコマンドで修正するとログが回り始めた。
もう一つのトラブルであるが、VIA EPIA-ML 6000EAのBIOSブートの初期画面で「ESC」キーを押せとメッセージされるので押してみた。4つの設定項目が現れて、設定したい項目の数字キーでエンターできると書いてあるが、どういうわけかキーボードが反応しない。 ここにはBIOS設定の項目もあるが、 そのままにしておくと通常のブート・シーケンスとなって立ち上がってしまう。もちろん、立ち上がると問題なくキーボードから入力できる。
マニュアルはバンドルされていないので、VIAのサイトからダウンロードして確認すると他のM/B同様、「Delete」キーでBIOS設定画面に入れることが判った。それにしてもあの「ESC」キーを押せとのメッセージは不可解である。

やはりFAN

サーバーを本機に替えて2週間ほど経過したが、リムーバブル・ケースのFANから異音が出始めた。このリムーバル・ケースは1,000円もしない安物なので、FANから異音が出始めると、消耗品扱いで新しいものに取り替えている。そんなわけでサーバーを停止してメンテナンスを実施した。CPUのヒートシンクに触ってみるとそこそこ暖かい。省電力CPUのC3といえどもFANなしヒートシンクだけのクーラーでは、冬場は良いとしても夏場はつらいかもしれない。
手持ちの小型FANがあったので、ヒートシンクの上に装着してみた。装着といってもガムテープで貼り付けただけであるが、その内、もっとスマートな方法を編み出したい。でもケースの方に適当なFANを装着した方が簡単ではある。

数ヶ月後、メンテのためにケースを開けてみたら、やはりガムテープがはがれてFANが脱落してしまっていた。
直径1mmのエナメル線をヒートシンクに対角線上の2箇所に巻き付け、それでFANを固定することにした。スマートとは言い難いが、ガムテープよりはましであろう。

ちょっとしたトラブル・シューティングその2

台所のレンジをIHヒーターに変えたためか、電気の使い過ぎで、安全ブレーカーが落ちてしまうトラブルが2回ほど発生した。当然だが、その度にサーバーも停止してしまう。筆者が在宅していれば、安全ブレーカーを再投入し、サーバーも再起動できるが、不在時には家人はサーバーの再起動まで気が回らず、サーバーは停止したままとなってしまう。 「停電 ATX電源 再起動」をキーワードにして検索したら、BIOSセットアップで回避できそうなことがわかった。VIA EPIA-ML 6000EAのBIOSセットアップで
Power Mnagemet Setup メニューのAC Loss Auto restartを
OFF→ON
に設定変更した。 試験のため、サーバーが稼働している状態で、ATX電源本体のパワースイッチを切り電源断とした後、再投入しすると無事サーバーは再起動した。これで不在時に停電があっても復電後、サーバーは自動的に再起動することになる。

開発用マシンもmini-ITX

サーバーをmini-ITXを入れ替えてから1年間経過したが、ノートラブルで稼働してくれた。この間、OSをFreeBSD6.2にバージョン・アップしたりもした。 その際、HDDを80GBにアップしたので、以前から使っている開発用マシンではBIOSが古くて80GBHDDが認識できなくなってしまった。この開発用マシンはかれこれ10年近く使ったATタイプでしかもメモリも64MBしか積んでいない。apacheのバージョン・アップをしたいのだが、開発用マシンがないのがネックになっていた。中古PCも物色したが、80GBHDDが認識できるかイマイチ不安であったし、まともそうなPCは2万円近いものもある。
そんなわけで、なるべく安く開発用マシンを自作することにした。M/BはVIDEO、LANがオンボードであることだけが条件である。格安M/Bに格安CPUの組み合わせも考えたが、CPUクーラーが必要だったりで、結局、mini-ITXフォームのVIA PC1500(GA-PCV2)というM/Bと512MBメモリに落ち着いた。ケースも電源込みで一番安いものを買ったら、1年前と同じモデルであった。ただし、電源ピンが20+4になっていた。しめて、1万8千円であった。
組み上げて、FreeBSD6.2が入った予備HDDを装着して電源ONで無事、立ち上がった。ただし、NICが
rl0: RealTek 8139 10/100BaseTX
となったので、sysinstallで変更した。
このPCはVIAの「pc-1 イニシアティヴ」:残る10 億人にも IT をというコンセプトで発売されたが、財布の中身が貧弱な筆者も充分に恩恵を受けている。VIA EPIA-ML 6000EAよりも安く、1万円ちょっとで購入できた。
「PC1500」の主なスペックは、搭載CPU C3 1GHz、チップセットがCLE266/VT8235M、スロット数がPCI×1、DIMM×1(DDR266、最大1GB)、搭載機能がVGA、パラレルATA(Ultra ATA/133、2ポート)、LAN、6チャネルサウンドなど であるが、サーバー用途なので、VGA、パラレルATA(Ultra ATA/133、2ポート)、LANしか使っていない。
いつか、win2kでもインストールして見たいと思っている。開発コンセプトからするとWindowsというよりもLinuxかな。
ということでVine Linux 4.1を使ってみた。このVine Linux 4.1は別のPCで使っていたHDDをPC1500に装着しただけであるが、必要なドライバー類も自動的に設定されて無事、立ち上がってしまった。最近のLinuxは本当に便利になったものである。
ブラウザーとメーラーを使ってみたが、現用WinPCに比べても別に遅いとは感じられなかった。もっと重いアプリでは違いが出るのかもしれないが、結構、使えそうである。

現在は

快調に働いていたVIA EPIA-ML 6000EAであるが、2年ほど経過してからおかしくなり始めた。M/Bからピーピーと音が出て停止してしまう。リブートするとそれでも立ち上がるが、このままでは危ないので、開発用PCをサーバーに転用することにした。
使用していたHDDを開発用PCに装着するとFreeBSDは問題なく立ち上がった。NICの種類がサーバーとは違うので、設定ファイルを手直しする必要がある。 サーバーではNICはvr0、開発用PCではrl0と認識されているので、
/etc/rc.conf
/etc/ipf.rules
において、vr0と記述されているものをrl0と書き換えてリブートすると外部との通信が確立した。

その後は

開発用PCから転用したMini-ITX VIA PC1500で2年ほど運用したが、上述したVIA EPIA-ML 6000EAと同じで、M/Bからピーピーと音が出て停止してしまうことが起き始めた。
サーバーに使うM/BはWindowsPCのお古を使い回す場合もあるが、今までの経験からWindowsでの使用も含めて、トータルの使用時間が3年あたりを経過すると怪しくなるようである。
今回はインテルのMini-ITX M/B D510MOをサーバ用として新規導入した。メモリーは2GBである。
OSもFreeBSD 7.3へバージョン・アップし、HDDもようやくIDEからSATAへと変更することができた。

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Last Updated 22/Jan/2011