シンプルな回路+811A×1使用50MHz用GGリニアアンプ
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 QST誌1992年1月号に、811Aを3本パラにしたHFのリニアアンプか新製品として紹介されていました。811Aは開発されてから50年にもなる3極送信管です。フィラメントは直熱式で6.3V4A、プレート損矢は65Wです。811Aはかつてコリンズなどのリニアアンプに4本パラで500W用として使われていましたが、それも20年以上も前の話ですし、今ごろ新製品に使われるとは夢にも思いませんでした。
 QST誌の新製品紹介は、自前のラボで測定してデータを発表しますので内容はかなりの信頼性かあります。データで驚いたのは、lMD特性で-40dBをクリアーしていました。真空管自体の値段も他の送信管に比べると非常に安く、QST誌の広告では1本10ドル程度です。現在でも製造されているようで、供給も問題ないようです。製造メーカーがこの真空管を採用した理由もこのあたりにあると思われます。
 以前に入手した811Aがありましたので、50MHz用リニアアンプとして計画してみました。現代において50W程度のアンプを真空管で製作するメリットはぽとんどないと思います。しかし、簡単な回路でかなりの性能が期待できます。これは真空管の能動素子としての特性の良さが、現代でも通用するからです。また、電源を含めた大きさですとトランジスタ・アンプと比べても遜色がないと思います。それに直熱管ですのでスイッチ0Nですぐに使用できます。
 何十年も前に開発された真空管が現代でも通用することに快感を覚えるのは、私だけではないと思います。

回路


予備実験に使ったバラック・セット

回路構成は、必然的にGG(グリッド接地型)となります。811Aはプレート損失が65Wですので、50Wアンプですと1本で十分です。回路は非常に簡単です。グリッドを接地しますので、シールド効果により中和が不要です。電源はプレート用高圧、ヒーター用、リレー用の3種類で済みます。多極管のGKアンプ(カソード接地型)だと、このほかに安定化されたスクリーン・グリッド、バイアス電源が必要です。
 811Aの入力容量は小さいほうです。トロイダル・コアによるトランスでインピーダンス変換すれば、入力容量のキャンセルなしでかなりの程度までいけると思います。気になる場合は同調型の入力回路にすればアンプの効率が良くなります。最終的にはトロイダル・コアを使用した並列同調型の入力回路に落ち着きました。
 10Wトランシーバーをエキサイターとする場合、7dBのパワー・ゲインがあれば50W出力になります。数dBの余裕がありますので、それを入力部のアッテネーターに回します。GGアンプの入力インピーダンスは入力レベルに応じて変動しますので、エキサイター側からみたSWRを安定させる必要があります。エキサイターに余裕があれば3dB程度のアッテネーターを入力に挿入すると、SWRの暴れがかなり改善されます。私はエキサイターに自作の2Wトランスバーターを使っていますので、今回はアッテネーターを省略しました。
 入力部に3dB程度のアッテネーターを挿入した場合、トロイダル・コアによるトランスだけで入力側のSWRは実用的な範囲に収まります。入力回路のコイルのタップ位置から推測すると、このアンプの入力インピーダンスは約200Ωです。1:4のステップアップ・トランスの後に入出力インピーダンスが200Ωの3dBのアッテネーターを挿入してください。

  

 
回路図

結果

 50W出力には、ちょっと足りませんでした。やはり、もう少しプレート電圧が高くなくてはいけないようです。プレート電圧610V、プレート電流130mA、入力約80Wで40Wの出力となりました。プレート電源用のトランスにスライダック・トランスを接続して一時的にプレート電圧を750Vまで昇圧すると50W以上の出力が得られました。なるべく高いプレート電圧をかけてください。その方が直線性の面でも有利になります。音質もQSOによるレポートではまずまずのようです。最後に、製作にかかる費用ですが、新規に全てのパーツを購入しても2〜2.5万円程度だと思います。

参考文献
「SSBハンドブック」 CQ出版社
「Ham Journal No.38」 CQ出版社
「トロイダルコア活用百科」 CQ出版社
「THE ARRL HANDBOOK 1990」 ARRL

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15/Feb/2003 Copyright all revered by mac