輸入キットを利用したオート・アンテナチューナーの製作
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はじめに

 バンドエッジでSWRが高いときや、ベランダのロング・ワイヤーでマルチバンド運用をしたいときなど、アンテナ直下に設置してシャックからリモート・コントロールするタイプのチューナーが欲しいですね。この手のチューナーはすでに市販されていますが、自作となると意外と困難なことがあります。リモコン化するためには、モーター・ドライブされたバリコンやバリLを組み合わせるのも一つの方法ですが、パーツの入手や機構部分の製作に困難を伴います。
 また、市販のオート・チューナーのようにコイル群とコンデンサー群をマイコン制御リレーで組み合わせる方式の場合、パーツの入手はそれほど問題ないのですが、マイコン制御部をどうするかが非常に問題となります。
 そんな折り、QST誌にオート・チューナーの製作記事が掲載され、アメリカの会社からそのキットが発売されていることがわかりました。数本の制御線を外部に引き出せば簡単にリモコン化が可能と思われますし、問題となる制御部もプログラミング済みのワンチップ・マイコンが付いてきます。
発売元は、
LDG Electronics
1445 ParranRoad St.Leonald MD 20685 USA
Tel 410-586-2177 Fax410-586-8475
で、商晶名は、AT-11、Automatic Antenna Tuner Kit です。ケースなしのフルキットで$150、送料が$20です。VISAとMCのクレジット・カードでも購入できますので、クレジット・カードで購入する場合は注文書の見本のように商晶名、数量、金額、住所、氏名、クレジットの番号などの必要事項を書いたメモ(注文書)を送るだけです。1台だけの注文でしたら通関手数料、国内の消費税もかからないと思います。関税は電子部品扱いになりますので、課税されません。注文書を郵送してから約3週問で到着しました。急ぐ場合はFAX注文が便利です。

回路構成

 回路構成はコイル群を直列にコンデンサー群を並列に配置したLマッチとなっています。コンデンサー群はリレーによりコイル群の両端のどちらかに接続されますので,理論的にはすべてのインピーダンスに対してマッチングできることになります。
 コイルは最小0.11uHから最大10.0uHの8組が用意されていますので、0.11uHステップで256通りの組み合わせが可能です。コンデンサーは最小5pFから最大642pFまでの8組ですので、5pFステップで256通りとなります。全体の組み合わせは256x256×2=131,072通りとなります。この131,072通りの中からSWRが最小となる組み合わせをマイコンが探します。マイコンはSWR検出部からのアナログ信号をディジタルに変換する機能とLED、スイッチを制御する機能も受け持っています。
 このチューナーは最小2Wから動作するのでQRPでも使えます。また、トランシーバーからの特別な制御信号を必要としませんので、どんなトランシーバーとも組み合せることができます。.ただし、電源としてDC12Vが必要です。

製作

 キットにはケースが含まれていませんので、筆者はタカチのYM250(25×17×5cm)を使用しました。海外から取り寄せたキットの場合、欠品や破損した部品の補充が問題となりますが、このキットではプリント基板とワンチップ・マイコン以外は簡単に国内で入手できますので安心です。発売元ではプリント基板のみ、ワンチップ・マイコンのみでも販売しています。
 製作で特別な工具は必要なく、付属の組み立てマニュアル、部品配置図を参考にしながら製作すればそれほどむずかしくないでしょう。組み立てマニュアルには簡単なパネル・レイアウトしかありませんので、ケースの加工は、現物合わせで行いました。
 プリント基板には抵抗、ダイオード、コンデンサーなどの小物パーツから取り付けます。基板のパターンが結構細かいのでハンダ・ブリッジに注意してください。リレーは1個取り付けるごとにトランジスタを駆動させて動作チェックをしました。コイルはデータ表に従ってトロイダル・コアに巻き、最後に取り付け、接着材で基板に固定します。その後、基板をケースに取り付けてコネクター、スイッチ、LEDと基板の間を結線します。

リモコン化

 組み立てマニュアルにはリモコン化についての記述はありませんが問題なく可能です。簡単な方法はTUNEと電源ラインを外部に延長するだけです。電源OFFではコイルはすべてショート、コンデンサーはすべてオープンとなり、スルーの状態となります。
 また、電源をONするたびに内蔵マイコンは初期化されます。そしてTUNEラインをアースに落とすとSWRが最小となる組み合わせを自動的に探して停止しますので、電源のプラス、アース、TUNEの3本の線だけでリモコンできることになります。制御ラインを増やせばもっと細かい調整も可能となります。最初からリモコン専用で製作す最初からリモコン専用で製作する場合、LEDは基板上に直接ハンダ付けしてもよいと思います。LEDはSWRの表示やマイコンの動作状態の表示にも使っていますがSWRはトランシーバー側で確認できますし、マイコンの動作状態は特に確認する必要はありませんのでスイッチ類は省略できます。
 私はベランダや車のトランクに設置することを考えていますので、電源スイッチとTUNEスイッチをプラスチックの小箱に取り付けたコントロール・ボックスを作り、本体にはリモコン用のジャックを増設しました。本体にもすべてのスイッチを取り付けましたので、本体のみでも使えます。屋外で使用する場合は防水措置が必要ですが、この辺は各自いろいろなアイデアで対処してください。私の場合、ベランダで使うときは台の上に置いてプラスチックのケースでカバーするだけですが、短期問であれば問題ありません。

調整

 まだ、この状態ではワンチップマイコンは挿入しないでください。最初に安定化電源ICにDC5Vが出ていることを確認します。このとき、電源電流は2.5mA流れます。大丈夫なら、一度電源を切ってからマイコンをソケットに挿入します。電源を投入すると一瞬すべてのLEDが点灯します。これはマイコンが初期化されたことを示し、約10mAの電源電流が流れればOKです。インダクター、キャパシターのUP/DOWNスイッチを押すとリレーの動作音がするはずです。
 電源スイッチを切るとスルーの状態になるので、SWRセンサーの調整に移ります。センサー部の半固定抵抗を中問にセットし、チューナーの入カ側に送信機、アンテナ側にダミーロードを接続して10Wでキャリアを送信します。そのときREVポイントで0VとなるようにC68のトリマーを調整します。その後、100Wにし、FWDポイントントで4.5VとなるようR54を調整し、その後入出力を入れ替えてREVポイントが4.5VとなるようにR53を調整して終了です。10Wでも調整できますが、その場合は1.5Vになるようにします。

結果

 ベランダの18MHz用ループ・アンテナの給電点にチューナーを仮に置いて約5m離れたシャックからリモコンしてみました。7MHzから28MHzまで問題なくSWR2.0以下で同調しましたが残念ながら3.5MHzは同調しませんでした。次に車に置いてルーフサイドの21MHz用センター・ローディング・ホイップに給電したところ7MHzから28MHzまで使うことができました。
 気になる点がいくつかあります。最適値を探している問(最長で6.2秒)はリレーが高速で切り替わっていますので、まるでブザーが鳴っているようです。屋外で使う場合、防音を考慮する必要があるかもしれません。最大150Wまで耐えられるという割には使用しているコンデンサーの耐圧が500Vなのも気になリます。念のためにもっと高耐圧のものに取り替えておくほうが安心できそうです。
 電源OFF(スルー状態)ではK9リレーがハイ・インピーダンス側になっています。この状態でダミーロードをつなぐと28MHzでSWRは1.3となりました。スイッチを操作してロー・インピーダンス側にすると1.0になりましたので、ストレー容量がいたずらしているようです。
 しかしながら、値段(約2万円)を考えるととてもよくできたキットだと思いますし、いろいろな応用も可能です。発売元へはインターネットでもアクセスできます。
http://www.ldgelectronics.com/
《参考文献》
・AT-11,Automatic Antenna Tuner Kit Assembly Manuual
 LDG Electronics
・QST Jan1996,ARRL

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19/Feb/2003 Copyright all revered by mac