BC-312-N
本機はアメリカ陸軍の短波帯受信機で、戦後、陸上自衛隊にも供与されたと思われる。
受信周波数/1500kHz-180000kHz 6bands
電波形式/AM,CW
構成/高2中2シングルスーパ
電源/12-14VDC 4.3-4.8A
WIDTH 18 HEIGHT 10 3/4 16LENGTH 9 1/4 (inch)
WEIGHT 58 (lb)
タグによると、1943年オーダーのFARNSWORTH TELEVISION & RADIO COPORATIN製である。
パネル前面の5本のねじを回し、手前に引き外すとカバーと分離できる。
シャーシー下部の状況で、右側の空間はDC高圧電源用のDC-DC発電機の収納部分であるが、入手時には発電機は取り外されていた。
使用真空管
BC-312-Nに使用されている真空管は
VT-65 6C5 *2
VT-66 6F6 *1
VT-86 6K7 *4
VT-87 6L7 *1
VT-88 6R7 *1
5種類、計9本である。
写真は手持ちの予備球で、左からVT-65、VT-66、VT-86、VT-87、VT-88である。
VT-65、VT-87、VT-88はRCA製のJAN元箱入りである。
VT-86もRCA製であるが、残念ながらVT66はメタルではなくガラス管である。
テクニカル・マニュアル
TM 11-850N 4-Feb-43 Scribd 56MB
Loudspeaker LS-3
LS-3はBC-312-Nと接続して使用するためのスピーカーである。
WHD 8.1 x 8.1 x 4.5 inch
WEIGHT 10.8 lb
タグによると、1952年オーダーのBEST MANUFACTURING CO,INC製である。
来歴
このBC-312-Nは、1980年頃、自衛隊払い下げの機器を取り扱っていた国内業者から購入したものである。
この受信機はDC12-14Vで動作するのであるが、内部に装着されているはずのDC高圧電源用のDC-DC発電機がなかったので、そのかわりに下記写真のような外部電源装置を用意した。
本来のBC-312-Nは12-14Vを入力し、6.3V管2組ヒーターを直列に接続したヒーター回路と高圧用のDC-DC発電機に供給している。
そのため、外部電源装置では真空管アンプ用の電源トランスを使用し、ヒーター用にAC6.3V巻線を2組シリーズに接続したAC12.6Vと高圧巻線を整流して250V程度を供給した。
接続用のケーブルはDC250V、AC12.6Vの4本なので、外部接続用の端子を改造して供給した。
この外部電源を使用して動作確認したが、当初は動作せず、回路を追っていくと高周波段のカップリング・コンデンサーが不良であった。
当該のコンデンサーを交換すると無事に動作したが、IFTの帯域が広く、CW運用には向いていなかった。
海外短波放送の受信やクリコンを接続して50MHzAM用の受信機として使用したが、いつの頃からかお蔵入りとなっていた。
なお、外部電源装置はR648受信機の電源も兼ねていたが、電源トランスは本来の真空管アンプに転用した。