バリアブル・コイルを使ったアンテナチューナーの製作
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(1)はじめに

 バリLの購入は国内では難しいことと思いますが、今回個人輸入で入手することができました。そこで、バリLを使わないと実現が困難な丁型アンテナ・チューナーを製作してみましたので紹介します。なお、このタイプのアンテナ・チューナーの理論は故JA1FG梶井OMにより本誌等に詳しく発表されています。

(2)回路、部品


 通常,私たちはアンテナを50Ωの同軸ケーブルを使用して給電しています。.しかし、バンド・エッジでSWRが高くなった場合を想定して、50Ωに対してSWR≦4(12-5Ω〜200Ω)程度までのインピーダンス変換とバンドパス・フィルターの効果を期待して回路を構成してみました。
 第1図においてLoutを可変することができれば、バリコンCとの組み合わせでいろいろなインピーダンスにダンスに対応するはずです。第1図の丁型アンテナ・チューナーは、第2図のように二つのLマッチに分解できます。

バンド(MHz) Lin(uH) C(pF) Lout(uH)
28 0.84 48〜105 0.44〜1.37
21 1.12 64〜140 0.59〜1.85
14 1.68 96〜210 0.88〜2.77
10 2.24 134〜294 1.24〜3.89
7 3.36 192〜421 1.77〜5.50
第1表

Lマッチの理論式から入力側のQをQ=3とした場合、力側のインピーダンス=12.5Ω〜200Ω (SWR≦4)に対応する計算結果は第1表のようになります。
 この表から、今回購入した12ターン、6uHのバリLを使用すると7MHz〜28MHz用のアンテナ・チューナーが実現できます。LinはバリLとの結合を避けるためにも漏れ磁束の少ないトロイダル・コアに巻いたコイルを使用します。最大で3.4uH程度のインダクタンスが必要です。
 今回、私の使用したジャンクのロータリー・スイッチの接点構成が限られていましたので、0.4uH、0.8uH、1.0uH、1.2uHの4個のトロイダル・コアに巻いたコイルを作り、それらをロータリー・スイッチで切り替えて、各バンドに対応するインダクタンスを実現しています。

Lin(uH) 使用トロイダル・コア 巻数
0.4 T-80-2 8回
0.8 T-80-2 12回
1.0 T-80-2 14回
1.2 T-80-2 15回
 ロータリー・スイッチの関係からコイルの接続の方法は変則的です。本来ならば使わないコイルはショートできる回路が望ましいと思います。また、大きめの1個のトロイダル・コアに必要なインダクタンスのタップを出しながらコイルを巻くのも良いと思います。
 コイルの耐電力ですが、回路のQがQ=3ですのでQ=1の場合の数倍の耐電力が必要です。余裕を持って巻いてください。通過電力100Wの場合のコイル・データを第2表に示します。

第2表 巻線は1.2mmのホルマル線

 Loutに使うバリLは12夕一ン6uHです。非常にがっしりとした作りで、タイトのボビンに等ピッチ間隔でコイルを巻いてあります。ショート用の滑車も大き目のものを使っています。耐電力はもともと,軍用の数100W出力の送信機(BC-610)用アンテナ・チューナーからの取り外し品ですので、1OOWでの運用では十分に余裕があります。
 バリLを回すためにカウンター付きのダイヤルが必要で、今回使用したダイヤルは000からスタートして999で、また000に戻る積算カウンターが付いていました。1回転、クランク・ハンドルを回すと積算カウンターが10進みますので100夕一ンまでのバリLを回すことができます。
 SWR計は「トロイダル・コア活用百科」(CQ出版社刊)に掲載されたCM型です。最初、オリジナルの回路定数で作したところ、通過電力50W程度の測定で飽和してしまいましたので、カレント・トランスの2次側の巻数を10回から20回に、コンデンサーによる電圧分圧器の比率を1対10から1対20に変更しました。これで100W時にも飽和しなくなりました。また、フォワード側の測定回路に半固定抵抗を入れましたので、スイッチを切り替えることによりパワー計にもなります。
 カレント・トランスの部分はオリジナルでは両面プリント基板を使用した、マイクロ・ストリップライン方式ですが、「トロイダル・コア活用百科」にある20dBカップラーの記事を参考にして、50Ωの同軸ケーブルを便ったファラデー・シールド方式を採用しました。 メーターは、SWR・パワー目盛付きの200uAのものです。
 アンテナ・チューナーの入力側に付いているリレーを使った切替回路ですが、これは2台のトランシーバーを切り替えて、スプリット運用に対応するためのものです。私はTS-530SとTS-130Vに自作の真空管式100Wリニア・アンプ(これの出力πネット・ワークにも中古のバリLとカウンター・ダイヤルを使用しています)を組み合わせた2組のトランシーバーを使っていますが、外部VFOを持っていませんので、スプリット運用に対応できませんでした。
 そこで,受信時にはTS-130Vにアンテナが接続され、送信時にはTS-530Sにアンテナが接続されて,TS-130V(リニア・アンプはOFF)は送信状態になりますが、出力はダミー抵抗に接続される回路を組み込みました。最近のトランシーバニは、スプリット運用に対応する機能やSWR計が内蔵されていますので、必要がなければ省略します。
 出力側のアンテナ切替スイッチには、大きめのスナップ・スイッチを使いました。100W程度でしたら問題なく使用できます。バリコンですが、なるべく最小容量の小さいものを邊んでください。私はバリLと一緒に購入したアメリカ軍ジャンクの180pFのものを使い'ましたが、最小容量が30pFもあり一部同調のとれないインピーダンスがでてきました。必要耐圧が100Wでしたら、1kVのもので十分ですので、国産の200pF、1kVの市販品が使え
ます。 10MHz、7MHzでは容軍が不足しますので、固定コンデンサーを迫加してありますが、この場合固定コンデンサーの耐電力にも注意してください。
 ケースですが、市販品に適当なも'のがなかったので、裁断済みのアルミ板とLアングルを組み合わせて自作しました。ケースの大きは25cmX15p×20pです。アルミ板とアルミ板とはLアングルに3oのビス・ナットで固定します。ただし、天板だけはタップをたてて取り外し可能にします。あとは好みのスプレーで塗装します。

回路図

(3)組立、調整

 組み立ては、ケースの加工に一番時問がかかると思います。回路自体は簡単ですので、配線には時間がかからないと思います。配線にミスがなけれぱSWR計以外調整箇所はありません。
@アンテナ・チューナーをスルーの状態にします。
Aアンテナ端子に50Ωの無誘導ダミー抵抗、入力側にトランシーバーを接続します。
B28MHzで送信してSWR計のバック側の指示が最小となるようにSWR計の電圧分圧器の バック側のトリマー・コンデンサーを調整します。
Cアンテナ端子にト.ランシーバ、入力側に50Ωの無誘導ダミー抵抗を接続します。
D28MHzで送信して、SWR計のフォワード側の指示が最小となるようにSWR計のフォワード側の電圧分圧器のトリマ・コンデンサーを調整します.
Eアンテナ端子に別のパワー計、入力側にトランシーバーを接続してSWR計のフォワード側の半固定抵抗を調整してSWR計のパワー目盛を校正します。
以上でSWR計の調整は終わりです。

(4)結果

 私は自作の21/28MHzデュオ・バンドのクワッドを使っていますが、バンド・エッジでSWR=3以上を完全にSWR=1にすることができました。バリLの調整は予想以上にクリチカルです。バリLが入手できない場合、例えばエアーダックス・コイルとロータリー・スイッチで代用しようとすると,かなり細かくタップを出さないと難しいと思われます。
参考文献
「トロイダル・コア活用百科」CQ出版社
「ハムのトランジスタ活用」CQ出版社

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15/Feb/2003 Copyright all revered by mac